日程:2022年11月12日(土)10:00~17:25
Zoomミーティングによるオンライン開催
主催:ジャポニスム学会/公益財団法人 荏原 畠山記念文化財団
使用言語:日本語、英語(遠隔同時通訳付き)
定員:150名
参加費:無料
趣旨
⽇本のグラフィック・デザインの重要性は、これまで浮世絵版画や⼯芸の「図案」との関連で論じられてきた。しかし、近代の⼀世紀以上に亘り多様な形態をとった主要な視覚⾔語としての役割はあまり論じられてはいない。⽇本のグラフィックといえば、江⼾期の浮世絵版画と絵⼿本の類を源とするが、明治期に⼊ってからも、より商業的な媒体として発展し、「図案帖」や「⾒本帖」、あるいはポスターや商品パッケージなどのかたちで国際的なマーケットの増⼤する受容に応えてきた。さらにその後は、戦時におけるプロパガンダ・イメージにおいても発展するとともに、戦後も映画や演劇、⾳楽などの社会的かつ⽂化的活動のポスターやブックレットなどの分野でも重要な役割を果たしている。今⽇では、⽇本のグラフィック・デザインは、⻄洋の美学に最も強⼒な影響を及ぼした視覚⾔語のひとつとなっている。
20 世紀の⻄洋の映画や⾳楽、演劇のポスターは、⽇本のグラフィック・デザインとタイポグラフィーに注⽬してきた。⽇本が欧⽶のポスターに⽬を向けたのとは対照的である。今⽇でも⽇本特有の「空⽩」と単純性の嗜好は⾮常にエレガントな表現として、欧⽶で新たに注⽬されている多様なジャンルやメディアの創造活動に影響を及ぼし続けている。
このシンポジウムでは、グラフィック・デザインをめぐる⽇本と欧⽶の⽂化間交流と相互の影響関係を全体テーマとし、19 世紀の「図案」から、⼯芸作品やテキスタイルなどの応⽤芸術を経て、現代のグラフィック・デザインまで、幅広く相互の交流状況を具体的に検討したい。
プログラム
10:00 開会 藤原貞朗(総合司会、ジャポニスム学会理事)
10:00 – 10:10 ご挨拶 宮崎克己 ジャポニスム学会会長
松井昭憲 公益財団法人荏原畠山記念文化財団理事
10:15 – 10:45 趣旨説明 ロッセッラ・メネガッツォ(テーマ提案者、ミラノ大学准教授)
第1セッション「図案帖の出版・収集・展覧会」①
司会:田中厚子(ジャポニスム学会理事)
10:50 – 11:20 早光照子(版元芸艸堂)
基調報告「芸艸堂、明治創業の出版社の歴史」
11:25 – 11:55 大平奈緒子(渋谷区立松濤美術館学芸員)
基調報告「津田青楓の図案表現:『津田青楓 図案と、時代と、』展開催報告」
12:00 – 13:00 昼休憩
第1セッション「図案帖の出版・収集・展覧会」②
司会:田中厚子
13:05 – 13:35 エレオノラ・ランツァ(ミラノ大学博士課程)
研究発表「北イタリアにおける日本の図案の流通と収集 :ヴァレーゼ市立図書館コレクションのケーススタディ」
13:40 – 14:10 ケヴィン・グラフ・シューマッハ(ミュンヘン大学〔LMU〕博士課程)
研究発表「ジャポニスムの還流?:明治大正期の日本におけるグラフィック・デザイン、模様、モティーフ、装丁」
第2セッション「図案と応用芸術:輸出と再解釈」
司会:石井元章(ジャポニスム学会監事)
14:15 – 14:45 竹内有子(京都先端科学大学講師)
研究発表「色彩印刷を通じた日英交流:クリストファー・ドレッサーの『デザイン研究』」
14:50 – 15:20 サスキア・トゥーレン(文化学園大学助教)
研究発表「ストーリーテリングを通した着物再評価:銀座もとじの着物コレクションに見えるグラフィック・デザインのケーススタディ」
15:20 – 15:30 小休憩
第3セッション「ヨーロッパのポスターにおける日本のグラフィックの影響」
司会:石井元章
15:35 – 16:05 レジャーヌ・バルジエル(フランス国立装飾美術館名誉学芸員)
研究報告「19-20世紀のフランスのポスターにおける日本の図像の再解釈」
16:10 – 16:40 ロッセッラ・メネガッツォ(ミラノ大学准教授)
研究発表「19-20世紀のイタリアのポスターにおける日本の図像の再解釈」
まとめと講評
16:45 – 17:15 稲賀繁美(京都精華大学教授)
17:20 閉会挨拶 人見伸子(ジャポニスム学会理事長)
17:25 閉会