ジャポニスム学会国際シンポジウム 2021「ジャポニスムと東洋思想(宗教・哲学・美学):19-20世紀」

日程:    2021年12月4日(土) 9:30~17:20
Zoomミーティングによるオンライン開催
主催:     ジャポニスム学会/公益財団法人 荏原 畠山記念文化財団
使用言語: 日本語、英語(遠隔同時通訳付き)
定員:     200名
参加費:   無料
趣旨: ジャポニスムで喚起された日本に対する眼差しが、東洋思想が持つ精神性へ向けられた側面に焦点を当てる。

19世紀半ばにはシーボルトが著書『日本』で日本の宗教や思想を紹介し、アメリカでは仏教や神道を詳述したパンペリーがジョン・ラファージに影響を与えた。このほかファン・ゴッホをはじめ、ゴーガンやルドン、さらにはクレーなど東洋思想の影響が見られる画家は少なくない。またギメ美術館やボストン美術館では仏像展示室が設けられた。これと同時期に、神智学やエドウィン・アーノルドらにより東洋思想が流布するとともに、1893年シカゴの万国宗教会議で世界に東洋の宗教が周知されている。

東洋思想の欧米での受容は20世紀に引き継がれ発展する。岡倉覚三の『茶の本』や鈴木大拙の『禅』を通じ、「空(虚)」、「無(為)」、さらには「わび」、「さび」など日本の美学も伝えられ、アーサー・ウェイリーからオイゲン・ヘリゲルまで、欧米での東洋思想や日本美学の研究が活発化した。思想受容とともに、資本主義や物質文明に対峙する精神性をそなえた東洋思想は、文芸作品や演劇、建築などにも影響を与えた。

シンポジウムでは、19世紀から20世紀半ば頃までの具体的な事例を通じて、東洋思想とジャポニスムとの関係、及びその意義について考察したい。

 

プログラム

9:30       開会       司会 田中厚子
9:30‐9:40      ご挨拶      宮崎克己 ジャポニスム学会会長
松井昭憲 公益財団法人荏原畠山記念文化財団常務理事 事務局長
9:40‐10:00  趣旨説明  井上瞳、藤原貞朗

招待講演   司会 井上瞳

10:05‐10:45 ハンス・マーティン・クレーマ ハイデルベルク大学教授
19世紀ヨーロッパの学界における仏教の受容―日本仏教を中心として

1セッション ジャポニスムにおける東洋思想の位置  司会 藤原貞朗

10:50‐11:20  橋本順光 大阪大学文学研究科教授
「神智学とジャポニスム 三酸図・柔術・能」
11:25‐11:55   井上瞳 愛知学院大学准教授
「1909年ボストン美術館『仏像展示室』設置に関する考察」

12:00‐ 昼休憩

2セッション 異国趣味か、精神性の表現か  司会 藤原貞朗

13:00‐13:30  釘宮貴子 名古屋大学人文学研究科博士研究員
「オペラに描かれた日本の精神性 フェリックス・ワインガルトナー《村の学校》」
13:35‐14:05  鶴園紫磯子 桐朋学園大学講師
「セガレンとドビュッシーの友情 エクゾティスム試論をめぐって」

3セッション 日本の美学と宗教の表象  司会 井上瞳

14:10‐14:40  ソン・ア・キム・リー 関西外国語大学常勤講師
「ポジとネガの重層:フランク・ロイド・ライトのライト・スクリーンにおける濃淡」
14:45‐15:15  スヴィトラーナ・シールズ インデペンデント・スカラー
「夫婦岩:グスタフ・クリムトを魅了した神道の岩」

15:15‐15:30  休憩

4セッション 禅の流行とその表象   司会 井上瞳

15:30‐16:00  土金康子 クーパー・ユニオン大学准教授
「東西で共有するアンフォルメルの「禅」幻想と堂本印象作 Bokuseki(1959)」
16:05‐16:35  岩崎達也  インデペンデント・スカラー
「マーク・トビーと日本 トビー《変動するアルファベット》と書の影響」

16:40‐17:10      まとめ 橋本順光、藤原貞朗
17:15      閉会挨拶 人見伸子 ジャポニスム学会理事長
17:20      閉会