ジャポニスム学会の毎年の活動は、年1回の総会(講演会併設)、年数回の例会と見学会、年1回の会報を中心としています。以下に2008年のニュースと活動記録を掲載します。なお数年に一度、シンポジウムや連続講演会の開催、書籍の出版など特別の催しを行っております。


 

第29回(2008年度)ジャポニスム学会賞が決定いたしました。

ジャポニスム学会理事会では、去る8月に学会賞審査担当理事による本年度学会賞の審議を行い、同月理事会にて第29回(2008年度)ジャポニスム学会賞を下記の業績に対して贈ることに決定いたしました。

第29回(2008年度)ジャポニスム学会賞
授賞者  : 宮崎克己 氏
対象業績 : 『西洋絵画の到来 日本人を魅了したモネ、ルノワール、セザンヌなど』 (日本経済新聞出版社、2007年11月)

授賞者略歴
美術史家。1952年、埼玉県に生まれる。東京大学、同大学院、パリ大学大学院などで美術史を学ぶ。群馬県立近代美術館学芸員、石橋財団ブリヂストン美術館学芸課長、副館長などを歴任。専門はフランスの印象派、ポスト印象派、そして美術の上での日本とフランスの交流。

授賞理由
今回の授賞作となった宮崎克己氏の著作は、東西美術交流史を、近代を中心に美術品という「もの」の往来とそれに関わった人物などにまつわる社会現象として検証している。これまで、近代美術史は、芸術家とその作品を中心に記述され、それでよしとする通念があったが、本著作はそこから大きく踏み出して、展覧会、美術館制度、そしてコレクター、批評家、画商といった人々の役割を論じ、これまで断片的にしか意識されてこなかった事象に明確な光をあてている。長年美術館に携わってこられた宮崎氏ならではのユニークな視点による論考を高く評価するものである。この著作が、従来のジャポニスム研究の狭義の枠を破り、さらなる視野の拡大による研究への刺激となることを期待したい。

授賞式
2009年1月24日開催予定の学会シンポジウムにあわせて行う予定です。

『ジャポニスム研究』第28号を発行いたしました。(2008年12月発行)

論文1本、研究ノート1本、シンポジウム報告、展覧会評ほか

第4回例会が行われました。

「日仏芸術交流の150年」
日時 2008年11月22日(土)、23日(日)
場所 日仏会館ホール

日仏美術学会・日仏会館主催、ジャポニスム学会後援シンポジウム

第1日目:「19世紀後半の美術交流」
司会 高階秀爾(財団法人大原美術館館長)

第1セクション「ジャポニスムの新しい視野」
ジュヌヴィエーヴ・ラカンブル(オルセー美術館名誉上席学芸員)
「修好通商条約前後の第二帝政期における日本美術の知識」
クリストフ・マルケ(仏国立東洋言語文化研究学院教授)
「地獄のジャポニスム―フランスにおける春画の受容とその影響について」
馬渕明子(日本女子大学教授)
「型紙とナンシー派」

第2セクション「フランス・アカデミスムと日本近代洋画」
ブリュノー・フカール(パリ第4大学名誉教授)
「日本人画家たちの師:コラン、ローランス、ピュヴィ・ド・シャヴァンヌ」
三浦篤(東京大学教授)
「ラファエル・コランとその弟子たち」
荒屋鋪透(財団法人ポーラ美術振興財団ポーラ美術館学芸部長)
「ジャン=ポール・ローランスと日本」

第2日目:「20世紀の芸術交流」
司会 芳賀徹(京都造形芸術大学名誉学長)

第3セクション「1900年前後の多彩なる往来」
今橋映子(東京大学准教授)
「日本人のパリ写真 − 福原信三とピクトリアリスムの転換期」
宮崎克己(美術史家)
「フランス絵画の到来 林忠正から松方幸次郎まで」
ミカエル・リュケン(仏国立東洋言語文化研究学院教授)
「印画と印象 − 複製美術時代の美術交流」

第4セクション「両大戦間とそれ以後の文学・芸術」
フランソワーズ・ルヴァイアン(CNRS研究ディレクター)
「1920年代から60年代のフランスと日本における芸術の近代性」
柳沢秀行(財団法人大原美術館学芸課長)
「パリの日本人画家、日本美術界におけるパリ」
稲賀繁美(国際日本文化研究センター教授)
「西欧モダニズムに対峙する日本の伝統工藝(1900-1953)
―アンリ・フォシオンの考察を導きに」

第3回例会が行われました。

ジャポニスム学会・東京国立博物館共催シンポジウム
「フランスのジャポニスム――陶磁器を中心に」

日時 2008年7月12日(土)
場所 東京国立博物館 平成館大講堂
三浦篤氏「フランスにおける陶磁器のジャポニスム
-《セルヴィス・ルソー》とその後の展開-」
大久保純一氏「ルソーのテーブルウェアと幕末・明治の日本版画」
今井祐子氏「フランス陶磁器におけるジャポニスムの諸相とその背景
-日本陶器への開眼からシャプレ、カリエスらの作陶へ-」
土田ルリ子氏「エミール・ガレにみるジャポニスム」

第2回例会が行われました。

日時 2008年6月7日(土)
場所 日本女子大学目白キャンパス
研究発表1: 粂和沙氏
「ジェームズ・ロード・ボウズ―日本人との交流を中心に―」
研究発表2: 嶋田華子氏
「演劇のジャポニスム―『日本の誉』の上演を巡って」

第28回ジャポニスム学会総会および第1回例会が開かれました。

日時 2008年3月22日(日)
場所 京都国立近代美術館1階講堂
午前中の総会後、午後から第28回学会賞受賞記念講演会を兼ねたジャポニスム学会・ 京都国立近代美術館との共催のシンポジウムが行われました。

【プログラム】
「ポスターの東西交流―ジャポニスムを中心に」

基調講演:岡部昌幸(帝京大学准教授)
「ジャポニスム革命の一側面-ポスター芸術の誕生と現代における美術館受容」
(第28回ジャポニスム学会賞受賞記念講演)
発 表 1:坂本 満(金沢市立美術工芸大学客員教授)
「広告媒体としてのポスター、その起源」
発 表 2:冨田 章(サントリーミュージアム[天保山]主席学芸員)
「フランスのポスターにおけるジャポニスム」
発 表 3:池田祐子(京都国立近代美術館主任研究員)
「ドイツにおけるポスターのジャポニスム
-エミール・オルリークとフリッツ・ルンプフを中心に」
発 表 4:竹内次男(京都工芸繊維大学教授)
「日本に見る海外ポスター-京都工芸繊維大学所蔵作品を中心に」