ジャポニスム学会の毎年の活動は、年1回の総会(講演会併設)、年数回の例会と見学会、年1回の会報を中心としています。以下に2010年のニュースと活動記録を掲載します。なお数年に一度、シンポジウムや連続講演会の開催、書籍の出版など特別の催しを行っております。
■2010年度第5回例会を行いました。
シンポジウム「ジャポニスムとマンガ:“二つの日本美”」
■主催:ジャポニスム学会、京都精華大学国際マンガ研究センター
■日時:2010年12月5日(日)13:00 ~ 17:30
■場所:京都国際マンガミュージアム 1階多目的映像ホール
(関連ちらしのページ ( pdf, 735KB))
■対象:学会員および一般
■聴講料:無料(マンガミュージアム入場料は別途必要)
参加方法:
学会員の方は、12月2日までにシンポジウム・懇親会への参加を明記してメールまたはFAXにて学会事務局にお申し込みください。参加証を発行します。
一般の方は、直接会場にお越しください。
当日スケジュール
【シンポジウム】
12:30 開場
13:00 開会挨拶・趣旨説明
13:15 ~ 14:30
第Ⅰセッション[司会:橋本順光(大阪大学 准教授)]
パネリスト(発表順)
○ 三浦 篤(東京大学 教授)
「ジャポニスムとマンガをめぐる問題提起」
○ 宮崎克己(美術史家)
「浮世絵からマンガへ―ジャポニスムとしての
グラフィック・アーツとその里帰り」
○ 岡部昌幸(帝京大学 教授)
「ロー・アートからハイ・アートへ価値転換する歴史的沸点―
《北斎漫画》が引き起こしたジャポニスム波紋、
日本近代画壇・出版界の重層的発展、ロイ・リキテンスタイン
の戦後アメリカ美術背景」
14:45 ~ 16:00
第Ⅱセッション[司会:吉村和真 ( 京都精華大学 准教授)]
パネリスト(発表順)
○ 小山ブリジット(武蔵大学 教授)
「マンガのルーツ:西洋の読者のために
〈One Thousand Years of Manga〉 を書いた理由」
○ 宮本大人(明治大学 准教授)
「北斎は入っているか―明治・大正期の「漫画」言説における
浮世絵の位置づけについて」
○ ジャクリーヌ・ベルント(京都精華大学 教授)
「越境する描線 ミュシャとマンガの接点をめぐって」
16:15 ~ 17:30 全体討議[司会:橋本順光・吉村和真]
17:30 閉会挨拶
【懇親会】(会員のみ・要事前申込み)
18:30 懇親会
「四季の味 すぎうら」京都市下京区高辻通烏丸東入
tel 075-344-1480 (http://pws.prserv.net/sugiura/)
会費:5000円(酒量により多少の増減あり)
内容:
日本のマンガに対する欧米での熱狂は、しばしば新しいジャポニスムと
呼ばれます。19世紀に浮世絵がもてはやされたように、現代はマンガが
流行しているという見立てといえるでしょう。マンガやアニメを学びに
日本を訪れる留学生はもはや少数派ではありませんし、海外の日本研究
機関においてもマンガを無視することはできず、従来の日本研究と関連
づけるさまざまな試みが行われています。
しかし、20 世紀末から始まるとされるこれらのジャポニスムは、
100余年前のジャポニスムとどのような点で共通し、相違しているのか、
両者の本格的な検証はまだまだ不十分といわざるをえません。
今回のマンガ研究とジャポニスム研究との出会いから、たとえば、
『鳥獣戯画』を起源とするマンガ史の成立を、海外に向けて宣伝された
日本美術史と比較する試みや、かつては工部省・農商務省、今度は経産
省が、ジャポニスムを殖産興業の機会としてとらえているといった比較も
可能になるかもしれません。
そうした歴史的な広い視野からジャポニスムとマンガの関係をとらえ
つつ、昨今のグローバルなマンガ熱はかつてのジャポニスムとどこまで
共通点があり、どこが大きく異なっているのか、そしてそれはなぜなのか。
これらの疑問と問題提起を視野に入れた今回の企画は、マンガ研究者と
ジャポニスム研究者との本格的な相互交流の試みとして、重要な第一歩と
なる可能性を秘めているといえるでしょう。

■2010年度第4回例会(研究発表・講演・学会賞授賞式)を行いました。
■主催:ジャポニスム学会、横浜美術館
■日時:2010年11月20日(土)13:00〜16:30
■場所:横浜美術館レクチャーホール
■対象:学会員および一般
■聴講料:無料
スケジュール
12:30開場
【研究発表】13時00分―14時15分
(1)呉明善会員「青騎士とジャポニズム」
(2)赤木悠子会員「日佛芸術社の活動について ―展覧会・出版・画廊―」
休憩15分
【講演】14時30分―16時00分
フラヴィ・デュラン=リュエル氏
「印象派の画家たちと画商ポール・デュラン=リュエル
―ドガとの関係を中心に」(逐次通訳付き)
【展覧会紹介】16時00分―16時15分
沼田英子会員/横浜美術館学芸員「ドガ展について」
閉会挨拶
終了後自由に展覧会鑑賞。
【学会賞授賞式・懇親会】(会員のみ)
18時半―20時(横浜美術館・カフェ小倉山)
会費:一般3000円 学生1500円
会員の方へ:
当日は一般のお客様も参加されますので、定員数の関係から、早目のご入場をお薦め致します。 学会賞授賞式および懇親会に参加ご希望の方は、メールまたはFAXにて 事務局までお申し込みくださるようお願いいたします。(締め切り 11月18日) |

■第31回(2010年度)ジャポニスム学会賞が決定しました。
ジャポニスム学会理事会では、去る9月に学会審査担当理事による本年度学会賞の審議を行い、同月理事会にて第31回(2010年度)ジャポニスム学会賞を下記の業績に対して贈ることに決定いたしました。
第31回(2010年度)ジャポニスム学会賞
受賞者 : 柴田依子(しばたよりこ)氏
対象業績: 『俳句のジャポニスム クーシューと日仏文化交流』
(角川学芸出版、2010年3月10日発行)
受賞者略歴
神奈川県に生まれる。横浜国立大学学芸学部卒業。長野県松本に住む植物学者と結婚。 信州大学人文学部大学院人文科学研究科修了、比較文学を南原実教授に学ぶ。
P.- L.クーシューと西欧の俳句受容実証研究のためフランス国立東洋言語文化研究所留学、 J.- J.オリガス教授に研究指導を受ける。比較文学研究者。
訳書にP.-L. クーシュー著『明治日本の詩と戦争 アジアの賢人と詩人』(金子美都子氏との共訳、みすず書房、1999年)、論文に「西洋における蕪村発見—P.-L. クーシューからR.M.リルケへ」[クーシュー仏訳蕪村句(63句)添付](『國文學』第41巻14号、1996年12月号)、「詩歌のジャポニスムの開花:クーシューと『 N.R.F.』(1920)「ハイカイ」アンソロジー掲載の経緯」[全ハイカイ作品(82句)添付] (『日本研究』第29集 国際日本文化研究センター紀要、2004年)など。
授賞理由
本書は、20世紀初頭に日本の俳句をフランスで翻訳紹介し、フランス・ハイカイを生み出したポール・ルイ・クーシューの事績を、初めて本格的に跡づけた労作評伝である。著者の柴田氏は長年にわたる一次資料の調査を通じて、クーシューの生涯およびその俳句受容の実態を丹念にたどり直し、多くの新知見をもたらした。2度にわたる日本滞在を通して俳句と出会い、フランスで翻訳紹介し、自らフランス語でハイカイを創作したクーシューの業績は、俳句集『水の流れのままに』や著書『アジアの賢人と詩人』に結実し、詩歌における日仏文化交流の目覚ましい実例となり得ていることが、本書全体を通してよく理解される。巻末の年譜や作品・資料紹介も充実している。
本書の魅力は、クーシューがアナトール・フランス、ジャン・ポーラン、ポール・エリュアール、アントワーヌ・ブールデル、リルケなど、20世紀前半の重要な文学者、芸術家たちと交流し、彼らに俳句紹介を通して影響を与えたことを示唆し、浮き彫りにしている点にもある。加えて音楽に関しても、クーシューが仏訳した俳句と和歌にドラージュやデルヴァンクールが曲を付けており、20世紀前半に複数の芸術ジャンルにまたがってジャポニスムが展開するにあたり、クーシューが重要な役割を果たしたことも紹介されている。
ただし、本書にも不足の部分はあり、クーシューの全体的な人間像への踏み込みが充分ではないこと、日本語ができなかったクーシューがどのように俳句を翻訳したのか考究が足りないこと、ヨーロッパ文化に日本の短詩系文学が与えた影響や叙情性の問題をさらに深く、繊細に分析することなど、今後の研究で果たすべき課題は少なくない。しかしながら、全体としてはジャポニスム研究を文学分野で新たに切り開いた重要な著作として高く評価したい。俳句そのものではなく、フランス語によって解釈し直された「ハイカイ」のその後の運命も興味深いところであり、クーシューを起点にした著者の今後の研究に期待したい。
ジャポニスム研究はややもすると美術中心になりがちな傾向があるが、本書は文学の中でもとりわけ詩歌におけるジャポニスムを扱った貴重な研究成果として、ジャポニスム学会賞に値すると判断した。
授賞式
2010年11月20日(土)に開催予定の第4回例会(於横浜美術館)にあわせて、18:00より同美術館のカフェ小倉山において行います。会費は一般3000円、学生1500円です。参加希望者は2010年11月18日(木)までに、ジャポニスム学会事務局にお申込みください。

■2010年度第3回例会を行いました。
見学会「東京都庭園美術館「きらめく装いの美 香水瓶の世界」展」
※事前解説付き ☆本例会は学会員対象です。
■主催 ジャポニスム学会
■協力 東京都庭園美術館
■会場 東京都庭園美術館 中三階多目的ルーム及び展示室
〒108-0071 東京都港区白金台5-21-9
■日時 平成22年10月2日(土)
16:00~16:20 中三階多目的室(定員50名)で20分ほど展覧会概要を解説
16:20~18:00 各自自由観覧後、自由解散。
■募集・参加方法 (☆本例会は学会員対象です)
ジャポニスム学会での事前申込制とする。申し込みのあった会員に参加証のついたメールを事務局から送付する。参加者はその参加証を正門および美術館入り口で提示し入館する。入り口附近に事務局実行委員(会員)が待機し、中三階に誘導する。中三階多目的ルーム前で学会員が受付を行う。参加証での入館(無料)は当日限りとする。
~「東京都庭園美術館「きらめく装いの美 香水瓶の世界」展」について~
■開催趣旨
古代より現代まで、各時代背景やさまざまな美術様式を取り入れた香水瓶の数々を、
歴史的建造物である東京都庭園美術館の装飾空間で鑑賞する。ラリックをはじめとする
香水瓶にはジャポニスムを指摘できるものもあり、また展示空間である旧朝香宮邸は
西洋館でありながら、和を取り入れた意匠などにジャポニスムの回帰を発見することが
できる。詳しい展覧会内容は東京都庭園美術館ホームページへ

■2010年度第2回例会を行いました。
シンポジウム「ブラングィンとその時代 ジャポニスムの視点から」
【プログラム】
日時 2010年4月24日(土)13:00-16:00(開場12:30)
場所 国立西洋美術館講堂
主催 ジャポニスム学会
当日スケジュール
13:00-14:45 |
個別発表
大屋美那(国立西洋美術館主任研究員):
「フランク・ブラングィン、美術館のデザインと壁面装飾」
橋本順光(大阪大学准教授):
「ブラングィンの日本と日本のブラングィン」
小野文子(信州大学准教授):
「木版技術の伝播を通して考えるジャポニスムの広がり」 |
14:45~14:55 |
休憩 |
14:55~16:00 |
総合討論「ブラングィンとその時代 ジャポニスムの視点から」
司会:宮崎克己(美術史家) |
内容:
国立西洋美術館の「フランク・ブラングィン展」にあわせ、ブラングィンと日本をめぐるシンポジウムを開催します。ベルギー生まれのイギリス人画家ブラングィンは、同館のコレクションの礎を築いた松方幸次郎の蒐集助言者として知られますが、壁画から家具、版画制作など多彩な分野で活動し、日本の芸術家や文化とも興味深い関係を結んでいます。日本との関係からブラングィンの多面的な活動を再考する今回のシンポジウムは、従来の枠組をこえたアプローチを模索するジャポニスム研究に新しい視点と材料を提供する機会となることでしょう。
参加方法:
学会員の方は、4月20日までにメールまたはFAXにて学会事務局にお申し込みください。参加証を発行します。
一般の方は、当日12時より館内正面インフォメーションにて、先着順で無料聴講券を配布します。ただし、展覧会鑑賞には別途観覧券が必要です。
■2010年度第1回例会 ジャポニスム学会創立30周年記念大会を開催しました。案内状(jpg)
学会創立当時の先生方による貴重なシンポジウムもありますので、皆様奮ってご参加くださいますよう、ご案内申し上げます。
会員の方は、2月20日(必着)までにMLにありました方法でお申込ください。その際、申込会員のお名前、懇親会参加の有無をはっきりお伝えください。
本大会第一部では、案内状のように、一般の入場希望者も受け付けております。
しかし、会員優先とさせていただきたく、申込多数の場合は抽選となりますので予めご了承ください。 参加ご希望の方は2月20日(必着)までに往復はがきにて事務局(下記参照)までお申し込みください。
日時: |
2010年3月13日(土)13時-20時 |
場所: |
第1部:東京芸術劇場大会議室(池袋)
第2部:リストランテ池袋文流 |
当日スケジュール: |
12時30分~ |
受付開始 |
13時~第1部 |
東京芸術劇場大会議室(池袋)にて研究発表
・ナビ派ジョルジュ・ラコンブにおける北斎「神奈川沖浪裏」の受容
五十嵐梢(聖心女子大学大学院博士課程)
・フランス出版界のジャポニスム-フェリックス・レガメー作「OKOMA」を
中心に
隠岐由紀子(帝京平成大学専任講師)演奏つき研究発表
・20世紀初頭のフランス詩と音楽におけるエスプリの変遷-
ジャポニスムとの関連
鶴園紫磯子(桐朋学園大学講師)
バリトン:根岸一郎 フルート:坪井由紀シンポジウム
・学会創設者たちの世代が語る「ジャポニスムと浮世絵・・・、今再び」
芳賀徹・高階秀爾・瀬木慎一・坂本満・小林利延 |
18時30分~第2部 |
リストランテ池袋文流懇親会 「ジャポニザンたちの夜会」資料展示など催しあり |
|
申込・連絡先:ジャポニスム学会事務局
〒160-0007 東京都新宿区荒木町5-14ネオ荒木町ビル2F
(株)ワールドミーティング内 Tel: 03-3350-0363第一部資料代:会員500円、一般1000円
第二部参加費:6000円(学生3000円) |
■2010年総会を行いました。 案内状(pdf)
正会員の方は、2010年1月5日までに出欠票(jpg)をお送りください(連絡先)
(準会員、学生会員、賛助会員の方も、オブザーバーとして総会に参加してい ただけます)。総会終了後 第30回学会賞受賞記念講演(土田ルリ子氏「エミール・ガレが見た日本の美意識」)が行われます。
日時: |
2010年01月9日(土)13時-17時 |
場所: |
東京大学 山上会館 大会議室(東京大学本郷キャンパス)
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_00_02_j.html |
当日スケジュール: |
13:00 |
総会受付開始 |
13:30~14:45 |
総会 |
|
議事: 1)2009 年度事業報告
2)2009 年度決算報告・監査報告
3)2010 年度事業計画案審議
4)2010 年度予算案審議
5) その他 |
15:00~17:00 |
第30 回学会賞受賞記念講演
土田ルリ子氏「エミール・ガレが見た日本の美意識」 |
17:00 |
閉会 |