シンポジウム アーカイブ

過去のシンポジウム 目次

2023年:ジャポニスム学会国際シンポジウム 2023「Performative Japonisme : 「動き」のなかのジャポニスム」
2022年:ジャポニスム学会国際シンポジウム 2022「グラフィック・デザインとジャポニスム:19-20世紀」
2021年:ジャポニスム学会国際シンポジウム 2021「ジャポニスムと東洋思想(宗教・哲学・美学):19-20世紀」
2021年:40周年記念フォーラム ジャポニスム研究の可能性:歴史と現在
2020年:国際シンポジウム 2020「建築と空間のジャポニスム―1860年代から現代まで」
2019年:国際シンポジウム 2019「人の移動とジャポニスム」
2018年:第8回 畠山公開シンポジウム「ジャポニスムと女性」
2017年:第7回 畠山公開シンポジウム「 20世紀のジャポニスム」
2016年:第6回 畠山公開シンポジウム「ジャポニスムの人物ネットワーク」
2015年:第5回 畠山公開シンポジウム 「KOGEIとジャポニスム――産業と芸術で見直す近代」
2014年:第4回 畠山公開シンポジウム「ジャポニスムの全貌―ホイッスラーから何が始まったか?」
2013年:第3回 畠山公開シンポジウム「 水墨のジャポニスム―越境する書と画」
2012年:第2回 畠山公開シンポジウム「アメリカのジャポニスム―日米文化交流の歩みと知られざる偉人・執行弘道―」
2012年:国際シンポジウム「鍬形蕙斎の画本芸術 ~江戸からパリへ~」
2011年:第1回 畠山公開シンポジウム「西洋における中国/日本 ―17~19世紀のシノワズリーとジャポニスム―」
2009年:国際シンポジウム「型紙とジャポニスム―各地域における展開」
2009年:国際シンポジウム「知られざる英語圏のジャポニスム」
2008年:「ジャポニスムの過去・現在・未来」
2005年:国際シンポジウム「林忠正-ジャポニスムと文化交流への貢献」

 

■ ジャポニスム学会国際シンポジウム 2023「Performative Japonisme : 「動き」のなかのジャポニスム」

日程 20231126日(日) 10001730 対面とオンラインのハイブリッド開催
会場:武蔵野美術大学 市ヶ谷キャンパス
主催: ジャポニスム学会/公益財団法人 荏原 畠山記念文化財団
使用言語: 日本語、英語(同時通訳付き)
定員:対面70名、オンライン150
参加費:無料

趣旨
19世紀半ばに起こった日本の美術工芸への熱狂的関心は、19世紀末から20世紀初頭にかけて、文学、服飾、建築、音楽、舞踊など多種多様な日本文化に対する関心へと広がった。とりわけ、ジャポニスムの多様化において注目すべきは、造形芸術や文学に加えて、舞台芸術や映画、音楽、ダンス、ファッションなど「動き」を伴うPerformative な分野においてもジャポニスムを見い出すことができるようになったことではないだろうか。たとえば、19世紀半ば以降の欧米の女性が日本の着物に魅せられ、実際に着用して歩いた姿もまたジャポニスム現象として捉えるべきであろう。本シンポジウムでは、ジャポニスム研究において、これまで中心を占めることの少なかった Performative なジャポニスム、すなわち、「動き」のなかのジャポニスムをテーマに取り上げ、新たな観点からジャポニスムを見直すことを目的としたい。具体的には、演劇、パレエ、オペラ、音楽、映画、ダンス、ファッション、舞台美術、さらには、それらを表現した絵画や彫刻なども含めて、広い意味でのPerformative Japonisme の研究の可能性を探ってみたい。

プログラム

9:30  受付
10:00    開会 司会 岸佑
10:00-10:10 ご挨拶 宮崎克己 ジャポニスム学会会長
松井昭憲 公益財団法人 荏原 畠山記念文化財団常任理事
10:15-10:25 趣旨説明 釘宮貴子

第1セッション 演劇、オペラ、舞踊のジャポニスム 司会 井上瞳

招待講演
10:30-11:00 ダニエラ・フランケ オーストリア演劇博物館
1900年頃のウィーンにおける舞台のジャポニスム」

研究発表

11:05-11:20 橋本 順光 大阪大学教授 (発表15分)
「ジャポニスムの臨界と変容 ローレンス・アーヴィング脚色の『タイフーン』(1913)上演とその余波」

11:25-11:40 釘宮貴子 徳島文理大学短期大学部教授 (発表15分)
「ドイツ・オーストリアにおけるジャポニスム・オペラの変容―テオドル・サーントーのオペラ《タイフーン》(1924)に描かれた日本人」

11:40-11:50 質疑応答

11:55-12:10 根岸徹郎 専修大学教授 (発表15分)
「クローデル流ジャポニスムについて――散文詩、劇作品、そして日本で出版された本」

12:15-12:30 村上由美 慶応義塾大学専任講師 (発表15分)
「ポール・クローデルの舞踊作品にみられるジャポニスム」

12:30-12:40 質疑応答 

12:45-13:45 昼休憩 

第2セッション  動きのジャポニスムの諸相 司会 釘宮貴子

招待講演

13:45-14:15 武石みどり 東京音楽大学理事・副学長
「舞踊家伊藤道郎とジャポニスム ――新しいジャンル形成への原動力」

研究発表

14:20-14:40 鶴園紫磯子 ピアニスト、桐朋学園大学講師 (発表20 
「オペラからバレエ・リュスへ〜1910年代に変化するポストジャポニスムと新たなオリエンタリズム」

14:40-14:50 質疑応答

14:55-15:15 稲賀繁美 京都精華大学特任教授 (発表20 分)
「武術・武道の海外展開 敗戦後の合気道の欧州展開を中心に」

15:15-15:25 質疑応答

15:25-15:40 休憩

15:40-16:00 深井晃子 京都服飾文化研究財団理事 (発表20 分)
「ポワレのモデルたちのお練り」:「動き」から見るモードのジャポニスム」

16:00-16:10 質疑応答

16:15-16:35 渡辺采香 ソルボンヌ大学大学院博士課程 (発表20 分)
「19世紀フランスの旅行記における東洋の踊りー オリエンタリズムとジャポニスム」

16:35-16:45 質疑応答

まとめと講評

16:50-17:20 馬渕明子 ジャポニスム学会顧問 
17:25 閉会挨拶 石井元章 ジャポニスム学会理事長
17:30 閉会

 

 

■ ジャポニスム学会国際シンポジウム 2022「グラフィック・デザインとジャポニスム:19-20世紀」

日程:2022年11月12日(土)10:00~17:25
Zoomミーティングによるオンライン開催
主催:ジャポニスム学会/公益財団法人 荏原 畠山記念文化財団
使用言語:日本語、英語(遠隔同時通訳付き)
定員:150名
参加費:無料

趣旨
⽇本のグラフィック・デザインの重要性は、これまで浮世絵版画や⼯芸の「図案」との関連で論じられてきた。しかし、近代の⼀世紀以上に亘り多様な形態をとった主要な視覚⾔語としての役割はあまり論じられてはいない。⽇本のグラフィックといえば、江⼾期の浮世絵版画と絵⼿本の類を源とするが、明治期に⼊ってからも、より商業的な媒体として発展し、「図案帖」や「⾒本帖」、あるいはポスターや商品パッケージなどのかたちで国際的なマーケットの増⼤する受容に応えてきた。さらにその後は、戦時におけるプロパガンダ・イメージにおいても発展するとともに、戦後も映画や演劇、⾳楽などの社会的かつ⽂化的活動のポスターやブックレットなどの分野でも重要な役割を果たしている。今⽇では、⽇本のグラフィック・デザインは、⻄洋の美学に最も強⼒な影響を及ぼした視覚⾔語のひとつとなっている。
20 世紀の⻄洋の映画や⾳楽、演劇のポスターは、⽇本のグラフィック・デザインとタイポグラフィーに注⽬してきた。⽇本が欧⽶のポスターに⽬を向けたのとは対照的である。今⽇でも⽇本特有の「空⽩」と単純性の嗜好は⾮常にエレガントな表現として、欧⽶で新たに注⽬されている多様なジャンルやメディアの創造活動に影響を及ぼし続けている。
このシンポジウムでは、グラフィック・デザインをめぐる⽇本と欧⽶の⽂化間交流と相互の影響関係を全体テーマとし、19 世紀の「図案」から、⼯芸作品やテキスタイルなどの応⽤芸術を経て、現代のグラフィック・デザインまで、幅広く相互の交流状況を具体的に検討したい。

プログラム

10:00   開会  藤原貞朗(総合司会、ジャポニスム学会理事)
10:00 – 10:10   ご挨拶     宮崎克己 ジャポニスム学会会長
松井昭憲 公益財団法人荏原畠山記念文化財団理事
10:15 – 10:45  趣旨説明  ロッセッラ・メネガッツォ(テーマ提案者、ミラノ大学准教授)

第1セッション「図案帖の出版・収集・展覧会」①
司会:田中厚子(ジャポニスム学会理事)

10:50 – 11:20  早光照子(版元芸艸堂)
基調報告「芸艸堂、明治創業の出版社の歴史」
11:25 – 11:55   大平奈緒子(渋谷区立松濤美術館学芸員)
基調報告「津田青楓の図案表現:『津田青楓 図案と、時代と、』展開催報告」

12:00 – 13:00  昼休憩

第1セッション「図案帖の出版・収集・展覧会」②
司会:田中厚子

13:05 – 13:35    エレオノラ・ランツァ(ミラノ大学博士課程)
研究発表「北イタリアにおける日本の図案の流通と収集 :ヴァレーゼ市立図書館コレクションのケーススタディ」
13:40 – 14:10 ケヴィン・グラフ・シューマッハ(ミュンヘン大学〔LMU〕博士課程)
研究発表「ジャポニスムの還流?:明治大正期の日本におけるグラフィック・デザイン、模様、モティーフ、装丁」

第2セッション「図案と応用芸術:輸出と再解釈」
司会:石井元章(ジャポニスム学会監事)

14:15 – 14:45  竹内有子(京都先端科学大学講師)
研究発表「色彩印刷を通じた日英交流:クリストファー・ドレッサーの『デザイン研究』」
14:50 – 15:20  サスキア・トゥーレン(文化学園大学助教)
研究発表「ストーリーテリングを通した着物再評価:銀座もとじの着物コレクションに見えるグラフィック・デザインのケーススタディ」

15:20 – 15:30  小休憩

第3セッション「ヨーロッパのポスターにおける日本のグラフィックの影響」
司会:石井元章

15:35 – 16:05 レジャーヌ・バルジエル(フランス国立装飾美術館名誉学芸員)
研究報告「19-20世紀のフランスのポスターにおける日本の図像の再解釈」
16:10 – 16:40  ロッセッラ・メネガッツォ(ミラノ大学准教授)
研究発表「19-20世紀のイタリアのポスターにおける日本の図像の再解釈」

まとめと講評

16:45 – 17:15 稲賀繁美(京都精華大学教授)
17:20 閉会挨拶 人見伸子(ジャポニスム学会理事長)
17:25 閉会

 

 

■ ジャポニスム学会国際シンポジウム 2021「ジャポニスムと東洋思想(宗教・哲学・美学):19-20世紀」

日程:    2021年12月4日(土) 9:30~17:20
Zoomミーティングによるオンライン開催
主催:     ジャポニスム学会/公益財団法人 荏原 畠山記念文化財団
使用言語: 日本語、英語(遠隔同時通訳付き)
定員:     200名
参加費:   無料
趣旨: ジャポニスムで喚起された日本に対する眼差しが、東洋思想が持つ精神性へ向けられた側面に焦点を当てる。19世紀半ばにはシーボルトが著書『日本』で日本の宗教や思想を紹介し、アメリカでは仏教や神道を詳述したパンペリーがジョン・ラファージに影響を与えた。このほかファン・ゴッホをはじめ、ゴーガンやルドン、さらにはクレーなど東洋思想の影響が見られる画家は少なくない。またギメ美術館やボストン美術館では仏像展示室が設けられた。これと同時期に、神智学やエドウィン・アーノルドらにより東洋思想が流布するとともに、1893年シカゴの万国宗教会議で世界に東洋の宗教が周知されている。
東洋思想の欧米での受容は20世紀に引き継がれ発展する。岡倉覚三の『茶の本』や鈴木大拙の『禅』を通じ、「空(虚)」、「無(為)」、さらには「わび」、「さび」など日本の美学も伝えられ、アーサー・ウェイリーからオイゲン・ヘリゲルまで、欧米での東洋思想や日本美学の研究が活発化した。思想受容とともに、資本主義や物質文明に対峙する精神性をそなえた東洋思想は、文芸作品や演劇、建築などにも影響を与えた。
シンポジウムでは、19世紀から20世紀半ば頃までの具体的な事例を通じて、東洋思想とジャポニスムとの関係、及びその意義について考察したい。

プログラム

9:30 開会     司会 田中厚子
9:30‐9:40      ご挨拶      宮崎克己 ジャポニスム学会会長
松井昭憲 公益財団法人荏原畠山記念文化財団常務理事 事務局長
9:40‐10:00  趣旨説明  井上瞳、藤原貞朗

招待講演  司会 井上瞳

10:05‐10:45 ハンス・マーティン・クレーマ ハイデルベルク大学教授
「19世紀ヨーロッパの学界における仏教の受容―日本仏教を中心として」

1セッション ジャポニスムにおける東洋思想の位置  司会 藤原貞朗

10:50‐11:20  橋本順光 大阪大学文学研究科教授
「神智学とジャポニスム 三酸図・柔術・能」
11:25‐11:55   井上瞳 愛知学院大学准教授
「1909年ボストン美術館『仏像展示室』設置に関する考察」

12:00‐ 昼休憩

2セッション 異国趣味か、精神性の表現か  司会 藤原貞朗

13:00‐13:30  釘宮貴子 名古屋大学人文学研究科博士研究員
「オペラに描かれた日本の精神性 フェリックス・ワインガルトナー《村の学校》」
13:35‐14:05  鶴園紫磯子 桐朋学園大学講師
「セガレンとドビュッシーの友情 エクゾティスム試論をめぐって」

3セッション 日本の美学と宗教の表象  司会 井上瞳

14:10‐14:40  ソン・ア・キム・リー 関西外国語大学常勤講師
「ポジとネガの重層:フランク・ロイド・ライトのライト・スクリーンにおける濃淡」
14:45‐15:15  スヴィトラーナ・シールズ インデペンデント・スカラー
「夫婦岩:グスタフ・クリムトを魅了した神道の岩」

15:15‐15:30  休憩

4セッション 禅の流行とその表象   司会 井上瞳

15:30‐16:00  土金康子 クーパー・ユニオン大学准教授
「東西で共有するアンフォルメルの「禅」幻想と堂本印象作 Bokuseki(1959)」
16:05‐16:35  岩崎達也  インデペンデント・スカラー
「マーク・トビーと日本 トビー《変動するアルファベット》と書の影響」

16:40‐17:10 まとめ 橋本順光、藤原貞朗
17:15 閉会挨拶 人見伸子 ジャポニスム学会理事長
17:20  閉会

 

 

■ 40周年記念フォーラム ジャポニスム研究の可能性:歴史と現在

ジャポニスム学会は本年度をもちまして設立40周年を迎えます。つきましては記念イベントをオンライン上で開催いたします。詳細は、下記開催要項、プログラムをご覧いただき、また参加上の注意事項もご確認の上、ふるってご参加ください。皆様のお申し込みをお待ちしております。

日時:  第一部(発表)
2021年2月19日(金)~3月19日(金)
発表動画を特設サイトにて公開
第二部(パネルディスカッション)
2021年2月21日(日) 15:00-20:15(日本時間)
Zoomミーティングによるオンライン開催
主催: ジャポニスム学会
助成:公益財団法人石橋財団
使用言語: 日本語、英語(発表動画は2カ国語で視聴可、Zoomは遠隔通訳付き)
定員:  第一部 申し込みが完了した方はどなたでも視聴可
第二部 定員250名(先着順)
参加費: 無料
趣旨
「ジャポニスム」は西洋発の文化現象としてとらえられてきました。そこに立ち現れた「日本」とは、西洋から見て異文化の「他者」としての「日本」でありましたが、実際には日本政府や日本人も、ジャポニスムの演出者としてその受容を媒介してきました。学会40周年を記念するフォーラムとして、ジャポニスム(あるいは広義に「欧米が消費してきた日本表象」)に対して日本がどのように関わってきたのかを、そしてジャポニスムに関する言説と研究がどのように展開してきたのかの検証を、4つの観点から考えてみます。これまでの学会の歩みを振り返るとともに、ジャポニスム研究の現在を踏まえ、未来へと繋がる闊達な議論の機会にしたいと希望します。

第一部:発表
ジャポニスム研究の系譜①:近代美術史学におけるジャポニスム研究

稲賀繁美 国際日本文化研究センター・総合研究大学院大学教授
「斜(はす)かいから眺めた「回顧」」

グレッグ・トーマス 香港大学教授
「西洋の文化交流研究におけるジャポニスムの役割」

馬渕明子 国立西洋美術館館長
「日本人にとってのジャポニスム」

南明日香 相模女子大学教授
「「日本趣味」から「ジャポニスム」研究へ」

ジャポニスム研究の系譜②:学際的研究領域としてのジャポニスム研究

石井元章 大阪芸術大学教授
「殖産興業とジャポニスム 長沼守敬と農商務省商品陳列館」

橋本順光 大阪大学教授
「朝顔をめぐる英語圏のジャポニスム ガーデニングから禅まで」

ソフィー・バッシュ ソルボンヌ大学教授
「エドモン・デュランティと<ジャポニスムの病>」

ジャポニスム言説の越境と日本:他者としての自己像

木田拓也 武蔵野美術大学教授
「観光と手仕事の「美しい日本」:1930年代につくられたジャポニスム・イメージ」

中地幸 都留文科大学教授
「浮世絵と詩の世界―アメリカ詩と野口米次郎を中心にー」

ミカエル・リュケン フランス国立東洋言語文化大学教授
「親ギリシア主義としてのジャポニスム、ジャポニスムとしての親ギリシア主義 : 擬似形態と相互意味」

ジャポニスム研究のこれからと可能性

高馬京子 明治大学准教授
              Mousumé からshojoへ:フランスにおいて構築、継承される未熟なかわいい日本の女性像」

高木陽子 文化学園大学教授
「ジャポニスムと現代の文化芸術の関係を考える:過去と現代を架橋する方法  してのジャポニスム」

村井則子 上智大学准教授
「Japonisme/ジャポニスム/日本主義:齟齬(そご)としての文化表象」

 

第二部:パネルディスカッション(Zoomミーティングとして開催)
2021年2月21日(日)*日本時間で表示
15:00        開会     総合司会    人見伸子(ジャポニスム学会事務局長)
挨拶  馬渕明子(ジャポニスム学会会長)
説明     村井則子(40周年記念フォーラム準備委員長)

第1セッション
15:15-16:15           ジャポニスム研究の系譜①:近代美術史学におけるジャポニスム研究
座長:宮崎克己(昭和音楽大学教授)
パネリスト:稲賀繁美、グレッグ・トーマス、馬渕明子、南明日香

休憩

第2セッション
16:30-17:15          ジャポニスム研究の系譜②:学際的研究領域としてのジャポニスム研究
座長:三浦篤(東京大学教授)
パネリスト:石井元章、橋本順光、ソフィー・バッシュ

休憩

第3セッション
17:30-18:15           ジャポニスム言説の越境と日本:他者としての自己像
座長:岡部昌幸(帝京大学教授)
パネリスト:木田拓也、中地幸、ミカエル・リュケン

休憩(60分)

第4セッション
19:15-20:00          ジャポニスム研究のこれからと可能性
座長:池田祐子(京都国立近代美術館学芸課長)
パネリスト:高馬京子、高木陽子、村井則子
20:05            閉会     高木陽子(ジャポニスム学会理事長)

ジャポニスム学会40周年記念フォーラム報告

2021年2月21日、日本時間15:00よりジャポニスム学会40周年記念フォーラム第2部・パネルディスカッションが、完全オンラインで開催されました。19日に公開された第1部・発表動画の内容を踏まえて、4つの観点から総括・議論が行われました。総合司会は本学会事務局長・人見伸子氏が務めました。
第1セッション ジャポニスム研究の系譜①:近代美術史学におけるジャポニスム研究
パネリスト:稲賀繁美氏、グレッグ・トーマス氏、馬渕明子氏、南明日香氏
まず、座長・宮崎克己氏により論点整理が行われました。馬渕氏は、「日本人が参加していない、西洋人の幻想込みの評価」がジャポニスムであったとし、それがやがて日本側からの積極的な言説へとすり替えられていく問題を指摘しました。トーマス氏は、英語圏の美術史でジャポニスムは主にモダニズムとの関係において分析されてきたことを述べ、南氏・稲賀氏は「日本趣味」といった言葉の翻訳の難しさ―さまざまな意味で使われている現状―を語る場面がありました。最後にトーマス氏が、ジャポニスム研究には越境文化交流の理論を導き出す可能性があると提起しました。
第2セッション ジャポニスム研究の系譜②:学際的領域としてのジャポニスム研究
パネリスト:石井元章氏、橋本順光氏、ソフィー・バッシュ氏
座長・三浦篤氏の「ジャポニスム研究は出発点からして学際的たらざるを得ない」との総括のもと、質疑が開始されました。石井氏は「美術品と言うべき」美術工芸を陳列する農商務省商品陳列館が中国大陸では非常に効果を上げているとの記述を取り上げ、その効果を今後追っていく必要性を提起しました。また、橋本氏は、欧米でのアサガオ表象をハランやクズと対比し、同化可能な場合には日本の起源が忘れられ、統合への脅威を及ぼすと「日本的なもの」として排除されると指摘しました。また、バッシュ氏は批判的な立場の「反ジャポニスム」の存在を取りあげ、カスタニャリの言説がフランス民族主義的な立場であったと述べています。これは橋本氏の「脅威としての日本」に通じる指摘でした。
第3セッション ジャポニスム言説の越境と日本:他者としての自己像
パネリスト:木田拓也氏、中地幸氏、ミカエル・リュケン氏
開始冒頭で座長・岡部昌幸氏の通信が切れるハプニングがありましたが、総合司会の機転で質疑を先に行い、進行されました。浮世絵がアメリカの詩人たちへ与えたインパクトに関する質問で、中地氏は「ひとつのインスピレーション」であったとし、野口米次郎はジャポニスムというブームに乗り、内側から批判する形で作品を展開していったと述べました。リュケン氏に対しては、19世紀の日本とギリシャの国際的立場、東洋、ジャポニスムとネオクラシシスムへの共通性の指摘がありました。これに関連し、「ジャポニスム」という語彙の問題―「印象派」と「印象主義」の使い分けと同様に、イズムの問題が提起されました。木田氏は、国際観光局による「モダン」なイメージをどう捉えるかという質問に対し、新しい日本とレトロな日本が入れ子細工になったような日本イメージが作られたとしました。
第4セッション ジャポニスム研究のこれからと可能性
パネリスト:高馬京子氏、高木陽子氏、村井則子氏
座長・池田祐子氏が各発表の要点をまとめた後、討議に入りました。高馬氏はフランスでマンガやファッションを通して現在受容されている「カワイイ」「少女」がジャポニスム時に構築されたgeisha, mousméといった日本女性像を継承している点を指摘しました。また、高木氏は体験などの「無形のジャポニスム」とも呼ぶべき新たな視点が従来のような狭義のジャポニスムへのフィードバックにつながるとの展望を語りました。村井氏は「ジャポニスム」というフランス語の権威を取り込んで日本を礼賛しようとする「アプロプリエーション」がされている危惧を述べています。
また、本セッションの最後、藤原貞朗氏が「主義としてのジャポニスム」の再検討と、ジャポニスム理念の危うさについてコメントし、『ジャポニスム批判』という入門書があってもよいとの提案をし、全てのセッションが終了しました。
40周年を記念した本フォーラムは、「ジャポニスムとは何か」を問う内容となりました。それは、ジャポニスム学会への問いかけでもありました。
今回、オンラインという形が幸いし、他分野の方々にもご参加いただけました。また、開催時間を日本時間で夕方に設定したため、ヨーロッパやアメリカなどの異なる地域の方々の参加が可能となったのも、大きな収穫でした。わかりにくかった点や、配慮が行き届かななかった点は心よりお詫び申し上げるとともに、今後の改善点として活かして参ります。引き続き、本学会にご期待ください。
最後になりますが、助成を賜りました公益財団法人石橋財団に心よりお礼申し上げます。

 

 

 

■ 国際シンポジウム 2020「建築と空間のジャポニスム―1860年代から現代まで」

日時:   2020年10月10日(土) 9:30~17:30
Zoomミーティングによるオンライン開催
主催:  ジャポニスム学会/公益財団法人 荏原 畠山記念文化財団
使用言語: 日本語、英語(遠隔同時通訳付き)
定員: 300名
参加費:  無料

趣旨:  エドワード・S・モースやブルーノ・タウトが日本の建築文化について著し、フランク・ロイド・ライトがシカゴ万博の日本館に影響を受け、数回来日したことはよく知られる。彼ら明治以降来日した西洋人は日本建築のどのような点に惹かれたのか。他方、浮世絵や工芸品に夢中になったジャポニザンたちの目は日本の建築にも向けられたのだろうか。また、日本建築の特徴はどのように理解されて西洋の建築に取り入れられ、モダニズム建築の誕生にどのような影響を与えたのか。
翻って、数々の万国博覧会で日本建築が紹介されたが、海外に向けた日本側の発信はどのようになされたか。さらに安藤忠雄、SANAA、隈研吾など世界的に活躍する日本人建築家は、設計にあたって和の要素をどのように意識し、それは西洋からどのように評価されているのか。
2020年のジャポニスム学会国際シンポジウムでは、これらの東西文化の出会い、そこから生ずる驚き、学び、そして応用といった問題を、建築のデザイン面と建築空間が生み出す思想面の双方から検討したい。

プログラム                         

9:30  開会 司会 石井元章 大阪芸術大学教授

9:30 ~ 9:40ご挨拶
馬渕明子 ジャポニスム学会会長、国立西洋美術館館長
中村弘志 公益財団法人 荏原 畠山記念文化財団理事

9:40~9:50 趣旨説明
田中厚子 芝浦工業大学 特任教授

第1セッション 外国人の日本建築観 司会 田中厚子

9:50 ~ 10:20  濱島広大 筑波大学大学院後期課程
「19世紀中葉の駐日英国人の日本建築観 アーネスト・サトウとA. B. ミットフォードを中心に」

10:25 ~ 10:55  大久保美春 比較文化研究家
「外国人の見た茶室  その美と哲学の理解」

第2セッション 海外における日本建築受容と理解 司会 大久保美春

11:00 ~ 11:30   ボズレー、エドワード・R. ギャンブル・ハウス館長
「太平洋の両側  グリーン&グリーンの建築と日本」

11:35 ~ 12:05 クルゼル、ジャン・セバスティアン ソルボンヌ大学准教授
「フランスのジャポニスムを代表する重要建築の修復について:ミドリノサト、アルベール・カーン邸庭園の日本家屋、ラ・パゴード、鴻の間」

昼休憩

第3セッション 万国博覧会の日本館:その意図と表現  司会 大久保美春

13:05 ~ 13:35  石井元章
「万国博覧会参加の牽引車としての日本建築  1911年のローマ・トリノ二重万国博覧会の日本館」

13:40 ~ 14:10  萬代恭博 野村不動産株式会社特別専門職、長谷川香 東京理科大学助教、山名善之 東京理科大学教授
「『新しき日本建築』としてパリ万国博1937日本館  坂倉準三が表明した『日本の建築精神』」

14:15 ~ 14:45  チャプコヴァー、ヘレナ 立命館大学准教授
「ギャラリーになった日本の空間  万国博覧会日本館のその後」

休憩

第4セッション モダニズムの空間と日本建築 司会 田中厚子

15:00 ~ 15:30   オーシマ、ケン・タダシ ワシントン大学教授
「裏返しのジャポニスム  ブルーノ・タウトから隈研吾へ」

15:35 ~ 16:05   岸佑 国際基督教大学アジア文化研究所研究員
「『日本的』建築の形成と展開」

16:10~16:40   江本弘 日本学術振興会特別研究員PD(千葉大学)
「ミースを囲む雄弁  『日本建築の影響』言説の形成史」

https://www.youtube.com/watch?v=SBof09vUZzY

16:45~17:15   グラシア、リリ パリ・ベルヴィル建築学校修士課程、長谷川香、山名善之
「ローランド・シュヴァイツァーによる日本の伝統建築と近代性に根ざした弁証法的思考の具現化  シューのユース・センター(1973)とブレストのムーラン・ブラン・インターナショナル・センター(1983)」

17:15 ~ 17:25 まとめ
田中厚子、山名善之

17:25  閉会挨拶 高木陽子 ジャポニスム学会理事長 文化学園大学教授

17:30  閉会

 

 

■ 国際シンポジウム 2019「人の移動とジャポニスム」

チラシ2019日本語版表   チラシ2019日本語版裏

日時:  2019年10月5日(土)
会場:   国立西洋美術館
主催:   ジャポニスム学会/国立西洋美術館/公益財団法人 荏原 畠山記念文化財団
使用言語:  日本語、英語(同時通訳付き)
定員:  120名
参加費:  無料

趣旨: 19世紀半ばの開国と同時に、外交官、お雇い外国人、商人、観光客が日本を訪れ、街並みや風習、職人技や出会いの経験を日記や書簡に記し、工芸品を持ち帰りました。一方、日本から欧米へも、ビジネスや興行、留学や移住を目的とした多様な人の移動があり、彼らは他者の表象となりました。地球上のさまざまな場所で交差したこれらの人の移動は、どのようにジャポニスムの原動力となったのでしょうか。美術品などの物の移動から視点を変えて、人の移動を再検討することで、近代から現代に至るジャポニスムの多種多様な新たな意味を理解することができるでしょう。2019年のジャポニスム学会国際シンポジウムは、旅と移動がもたらしたジャポニスムに関する研究と議論を掘り下げようとするものです。

 

プログラム 

9:00   開場 受付

9:30 ~ 9:40ご挨拶
馬渕明子 ジャポニスム学会会長、国立西洋美術館館長
中村弘志 公益財団法人 荏原 畠山記念文化財団常務理事

第1部 夢想の日本: 情報発信と日本からの移動 司会 遠藤 望

9:40 ~ 10:00  井戸桂子 駒沢女子大学教授
「日本から世界へ ~日光の場合~」

10:05 ~ 10:25  フィリス・フロイド ミシガン州立大学准教授
「日本の“名所”と西洋における旅行ガイド」

休憩

10:40 ~ 11:00  鈴木順二 慶應義塾大学名誉教授
「園芸のジャポニスムに関わったフランス在住日本人―畑和助と協力者たち」

11:05 ~ 11:25  落合桃子 福岡大学講師
「秋田の医家に生まれ、ドイツで日本美術専門家になる―原震吉の生涯と仕事」

11:30 ~ 11:50  ウェイン・E.アーノルド 北九州市立大学准教授
「ヘンリー・ミラーとジャポニスム:遠方の動向」

昼休憩

第2部 夢想の実現 日本への移動 司会 石井元章

13:30 ~ 13:50  モニカ・ブラウ 文筆家
「ジャポニスムの先駆者―スウェーデン人植物学者・医師カール・ペーター・ツンベルク(トゥーンベリ)とその滞日(1775-1776)がもたらしたもの」

13:55 ~ 14:15  ステーファノ・トゥリーナ 美術史家
「絹糸とジャポニスム―イタリアおよびその他の諸国における日本の文物の広まりに果たしたイタリア人蚕種商人の役割」

14:20 ~ 14:40  稲賀繁美 国際日本文化研究センター教授、総合研究大学院大学教授
「エミール・ギメとフェリックス・レガメの日本訪問 1876-1877」

休憩

15:00 ~ 15:20  ドヴ・ビング ワイカト大学名誉教授
「ジークフリート・ビングとその一族: ヤコブ・サミュエル・レナー、ミカエル・ベア、ジークフリートとオーギュスト・ビング、そしてマルセル・ビング」

15:25 ~ 15:45  ジル・マスタルスキ 東京国際フランス学園歴史学教諭
「中欧から日出る国を訪れた最初のジャポニススムの画家―ユリアン・ファワト(1853-1929)の日本旅行とその作品に現れた日本の美術および美学の影響」

休憩

16:10 ~ 16:55 ディスカッション
全体質疑およびディスカッション 司会 井戸桂子

17:00 閉会

 

 

■ 第8回 畠山公開シンポジウム「ジャポニスムと女性」

チラシ表web用  チラシweb用裏

【趣旨】
極東から運ばれてきたエキゾチックな品々に、17世紀以降西洋の女性たちが強い関心を寄せたことはよく知られている。クロード・モネの《ラ・ジャポネーズ》を例に挙げるまでもなく、女性はジャポニスム絵画の画題として頻繁に描かれてきたし、女性が表現の主体として頭角を現し始めるのもまた19世紀以降の特徴ともいえよう。ジャポニスムが女性によって支えられ、女性を主題とし、また女性によって生み出される諸例は、女性がジャポニスムの本質に関わるという事実を示すといえる。
本シンポジウムは、「主体」「客体」「メタファー」といった視点よりジャポニスムと女性の関係に関する研究と議論を掘り下げようとするものである。

日時:2018年10月6日(土) 10時~18時(受付9時30分)
会場:拓殖大学文京キャンパス
定員:150名
参加費:無料
主催:ジャポニスム学会
共催:公益財団法人 荏原 畠山記念文化財団

プログラム

2018年10月6日(土)

シンポジウム
9:30 受付開始
会場:拓殖大学文京キャンパスE館3階 E307

10:00〜10:10:ごあいさつ
馬渕明子(ジャポニスム学会会長、国立西洋美術館館長)
中村弘志(公益財団法人 荏原 畠山記念文化財団常務理事)

【基調講演】

10:10~10:50    馬渕明子(ジャポニスム学会会長、国立西洋美術館館長)
「ジャポニスムは「女性的」か?」

【セッション1 表現された女性-客体】司会:沼田英子

10:55~11:25    隠岐由紀子(美術史家)
「西洋のジャポニスムの中でゲイシャに収斂していく日本女性のイメージ」

11:30~12:00   アナマリー・ V. サンデッキ(ティファニー・アーカイヴ主任アーキヴィスト/ヘッド・キュレイター)
「19世紀ティファニー社の日本女性のイメージ―宝石、テーブルウェア、アクセサリーの分析」

昼休憩

【セッション2 表現する女性―主体】司会:池田祐子

13:30〜14:00  マルケータ・ハーノヴァー(プラハ国立美術館 東洋洋・アフリカ美術コレクション・ディレクター)
「チェコのジャポニスムにおける女性の力―美の偶像と日本の美術・美学の受容者たち」

14:05~14:35  スヴィトラナ・シールズ(美術史家)
「東欧におけるジャポニスムの道筋をたどる―ウクライナとロシアの女性美術家作品に日本が果たした刺激としての役割」

休憩

【セッション3 パトロン、メタファー、ジェンダー】司会: 宮崎克己

14:50〜15:20  村井則子(上智大学准教授)
「ある近代婦人の肖像―J. S. サージェント作《イザベラ・スチュワート・ガードナー像》におけるジェンダーと観音表象」

15:25〜15:55  フィリス・フロイド(ミシガン州立大学准教授)
「ジャポニスムとモダニズムにおける美の媒介者としての女性たち」

16:00〜16:30  岡部昌幸(帝京大学教授、群馬県立近代美術館館長)
「交差する性、アール・ヌーヴォー、アール・デコの女性表現-絵入本(版本)浮世絵の挿絵とクリムト、ビアズリー、アイナー・ヴィーイナまで」

休憩

【ディスカッション】

16:45〜17:55        討論
司会:村井則子(上智大学准教授)
パネリスト:池田祐子(国立西洋美術館主任研究員);沼田英子(横浜美術館主席学芸員);馬渕明子(ジャポニスム学会会長、国立西洋美術館館長);宮崎克己(昭和音楽大学教授)

18:00 閉会

◆見学会(エクスカーション)

2018年10月5日(金)

迎賓館「没後100年 渡辺省亭特別展」および「サラ・ベルナールの世界展」見学

11:00迎賓館西門集合。

内容:赤坂迎賓館「渡辺省亭展」見学後~ 首都高・外環道・関越道~ 藤岡IC ~ 群馬県立近代美術館・サラ・ベルナールの世界展~往路逆ルート ~ 新宿駅西口センタービル前付近で降車(19:00予定)
参加費:
5500円(予定、参加者数により参加費に多少増減があります。当日払い)

 

 

■ 第7回 畠山公開シンポジウム「 20世紀のジャポニスム ―その波及と変容―


【趣旨】
ジャポニスムは、その顕著な表れとされる仏英絵画などでは二十世紀初頭までにおおむね下火になったが、服飾・文学・音楽など絵画以外のジャンルでは第二次世界大戦近くまで豊かな成果を生み続けた。また北・南・東欧などの地域では、西欧よりも遅れてブームになった。このようにジャポニスムは、地域的には中心としての西欧から他の地域に波及し、分野としても変容したと考えられる。本シンポジウムでは、ジャポニスムの周縁の問題として捉えられてきた二十世紀の動きに焦点を当て、同時にジャポニスムの定義をも再検討したい。

日時:2017年 11月25日(土)~26日(日)
会場: 帝京大学霞ヶ関キャンパス(平河町森タワー9階)
主催:ジャポニスム学会
共催:公益財団法人 荏原 畠山記念文化財団
協力:帝京大学

畠山シンポ2017チラシ 表 畠山シンポ2017チラシ 裏

プログラム

2017年11月25日(土)

見学会

「20世紀工芸・建築: モダニズム VS ジャポニスム」

10:00−12:00     JR目黒駅西口集合~徒歩にて移動
久米美術館-上大崎新興住宅地-東京都庭園美術館

解説  樋田豊次郎(東京都庭園美術館館長)
ナビゲーター    岡部昌幸(帝京大学教授、群馬県立近代美術館館長)

◆シンポジウム 13:00 受付開始

会場:帝京大学霞ヶ関キャンパス 教室4, 5(平河町森タワー9階)

13:30〜13:40:ごあいさつ
馬渕明子(ジャポニスム学会会長、国立西洋美術館館長)
長田憲幸(公益財団法人 荏原 畠山記念文化財団常務理事)

【セッション1 問題提起】

13:40~14:20  渡辺俊夫(ロンドン芸術大学およびイースト・アングリア大学教授)
「20世紀のジャポニスム  –  1920年代から1960年代まで」

14:25〜15:05  宮崎克己(昭和音楽大学教授)
「ジャポニスムの「終息」とそれ以降〜その再定義を踏まえて」

【セッション2 イギリス、ドイツ、イタリアにおける変遷 20世紀初頭から大戦間へ】

15:20〜15:50 クラウディア・デランク(美術史家、
クンストラウム・クラウディア・デランク主宰)
「青騎士の画家たちと日本美術  –  20世紀におけるジャポニスムの新たな一歩の定義に向けて」

15:55〜16:25  板橋美也(法政大学准教授)
「第二次世界大戦前イギリスの木版画リバイバルにおける漆原木虫」

16:30~17:00  石井元章(大阪芸術大学教授)
「大戦間時代の日本とイタリア」

◆奨励賞授賞式およびレセプション

会場:帝京大学霞ヶ関キャンパス ラウンジ(同階)

17:15〜19:15    奨励賞授賞式、懇談会

 

2017年11月26日(日)

【セッション3 ロシアおよびハプスブルクの帝国支配下の国々における受容】

10:00〜10:30 福間加容(大分市歴史資料館嘱託学芸員)
「帝政期ロシアのジャポニスム」

10:35〜11:05 バート・プシャウ(メリーランド大学大学院博士課程)
「バルト・モダニズムにおける日本のルーツ」

11:10〜11:40 ヘレナ・チャプコヴァー(早稲田大学助教)
「「装飾美術から印象的地域建設と素材へ」-  チェコ共和国の新たなジャポニスム(1918-1938)」

11:45~12:15    ミリヤム・デーネシュ(ホップ・フェレンツ東洋美術館アシスタント・キュレーター)
「交錯するジャポニスムの波―「世紀末芸術」とモダニズムのはざまのハンガリー」

昼休憩

【セッション4 音楽、ファッション】

13:30〜14:00 鶴園紫磯子(ピアニスト、桐朋学園大学講師)
「20世紀前半のモダニズムとジャポニスムについて―ストラヴィンスキーとメシアンを中心とした考察」

14:05〜14:35 深井晃子(京都服飾文化研究財団理事、名誉キュレーター)
「写実から抽象へ―ヴィオネと日本」

14:35〜15:00 コーヒ―ブレイク 学会賞受賞式

【ディスカッション】

15:00~17:00  討論
司会:石井元章 大阪芸術大学教授
パネリスト:岡部昌幸 帝京大学教授、群馬県立近代美術館館長;高木陽子 文化学園大学教授;橋本順光 大阪大学准教授;宮崎克己 昭和音楽大学教授;渡辺俊夫 ロンドン芸術大学、イースト・アングリア大学教授

17:00   閉会

 

 

■ 第6回 畠山公開シンポジウム「ジャポニスムの人物ネットワーク」

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【趣旨】
近年、ジャポニスム研究は多方面にわたり、絵画・工芸といった美術のみならず文学・演劇・音楽にまで興味深い事実が明らかになってきた。また早くから研究の進んでいるフランス、イギリス、アメリカ以外の西洋各国についても、視野が急速に広がってきている。このシンポジウムでは、ジャポニスムの多方面への拡大に貢献したキーパーソンたちを取り上げる。ジャポニスムを媒介した者たち、自ら影響を受け次の世代に影響した者たち、日本から西洋へ、西洋から日本へという双方向の影響の要になった者たちなどを取り上げ、ジャポニスムの全体的な広がりを明らかにしたい。

日時:2016年10月21日(金)、10月22日(土)
会場:帝京大学 霞ヶ関キャンパス(10月21日) (地図) ・拓殖大学 文京キャンパス国際教育会館(10月22日) (地図)
主催:ジャポニスム学会
共催:公益財団法人畠山文化財団
協力:帝京大学
[入場無料]

【プログラム】
◆ 10月21日(金)
第1セッション エクスカーションおよび展覧会見学「ジャポニスムの揺籃」[※事前申込み制、定員30名]
11:00-13:00   JR両国駅東口―葛飾北斎誕生地・居住地を巡る史跡見学(徒歩)-江戸東京博物館「よみがえれ! シーボルトの日本博物館」展見学(約90分、導入解説付き)
ナビゲーター:岡部昌幸(帝京大学教授)

第2セッション 研究発表  [定員80名、申込み不要]
会場:帝京大学 霞ヶ関キャンパス教室4・5(平河町森タワー9階)
14:30‐14:40 趣旨説明
宮崎克己(昭和音楽大学教授・ジャポニスム学会理事長)

14:40-15:10 発表1:大津順子(美術史家)
「ロベール・ド・モンテスキウと日本文化」
15:10-15:40 発表2:林久美子(日本学術振興会特別研究員)
「日本美術愛好家レイモン・ケクランの活動と人的交流」

[休憩]

16:00-16:30 発表3:岡部昌幸(帝京大学教授)
「ビュオーとビゴー、夢見る日本と日本で見た夢」
16:30-17:00 発表4:宮崎克己
「レオン・ド・ロニー『アントロジー・ジャポネーズ』をめぐる人々」

司会:隠岐由紀子

ジャポニスム学会賞授賞式および懇親会
17:30ー17:45  2016年度ジャポニスム学会賞・奨励賞授賞式
17:45ー19:00  懇親会

◆    10月22日(土)
第3-5セッション [※事前申込み制、定員82名]
会場:拓殖大学 文京キャンパス 国際教育会館(F館)3階

10:00-10:15 主催者挨拶
馬渕明子(国立西洋美術館館長・ジャポニスム学会会長)
長田憲幸(公益財団法人 畠山文化財団常務理事)

第3セッション 基調講演
10:20-11:20 基調講演:ミシェル・モキュエール(Michel Maucuer、フランス国立ギメ東洋美術館学芸員)
“Two types of collections, two types of collectors: Georges Clemenceau and collectors of Japanese art in France at the end of the 19th century”(英語での発表)

司会:木田拓也

第4セッション 研究発表
11:30-12:00 発表5:ラウラ・ディミトリオ(Laura Dimitrio、Professor, Liceo Scientifico Lussana)
“The Beginning of Japonisme in Italy and Drawings by Giuseppe Palanti for Costumes of Madama Butterfly (1904)”

12:00-12:30 発表6:石井元章(大阪芸術大学教授)
「イタリアのジャポニスム批評―ヴィットーリオ・ピーカとウーゴ・オイエッティの周辺」

司会:鶴園紫磯子

[昼休憩]

第5セッション 研究発表
14:00-14:30 発表7:田中厚子(アクセス住環境研究所代表)
「住宅のジャポニスム-松木文恭、エドワード・モース、グリーン&グリーン」
14:30-15:00 発表8:南明日香(相模女子大学教授)
「1910年代前半の日本における西洋の浮世絵研究の受容」
15:00-15:30 発表9:味岡千晶(美術史家・日本美術コンサルタント)
「英米のMingeiネットワーク1910-1930年代」

司会:村井則子

15:30-16:00 コーヒーブレイク

第6セッション ディスカッション
16:00-17:30    馬渕明子
池田祐子(京都国立近代美術館主任研究員)
橋本順光(大阪大学准教授)
司会:人見伸子

 

 

■ 第5回 畠山公開シンポジウム 「KOGEIとジャポニスム――産業と芸術で見直す近代」

主催:ジャポニスム学会
共催:公益財団法人 畠山文化財団
協賛:帝京大学
会場:帝京大学 霞ヶ関キャンパス
日時:2015年11月27日(金)、28日(土)

2015年畠山シンポジウム縮小画像(表) 2015畠山シンポ縮小画像(裏)

【趣旨】
欧米でジャポニスムがわきおこった19世紀後半は日本ではおおむね明治時代にあたるが、ジャポニスムに対して明治日本はどのように応えたのか、工芸の領域における動向を検討する。明治期にはジャポニスムを背景に、日本から海外に向けて、欧米人のまなざしを意識しながら、その目を楽しませるかのような工芸が制作され、さかんに輸出された。明治政府もまた工芸を輸出産業の重要な柱と位置づけ、海外への工芸の輸出を後押しした。その一方で、明治政府は万博などに際して、日本を代表する名工に作品の制作を委嘱し、優れた「美術工芸」を出品してそれを日本独自の「美術」として宣揚した。このように「工芸」は産業であると同時に美術でもあるという二重の性格を帯びており、それがまた日本の「工芸」の位置を特異なものにしてきたといえる。近年、こうした歴史的背景を踏まえ、「工芸」を単純にCRAFTと訳すのではなく、あえてKOGEIとして海外にアピールしようとする動きがあらわれてきた。また、「超絶技巧」と呼ばれるタイプの明治工芸に対する人気が日本国内においても高まりを見せてもいる。こうした現状を踏まえ、あらためてジャポニスムと工芸について振り返り話し合いたい。

【プログラム】

11月27日(金)

第1セッション 見学会 エクスカーション「明治の匠の技による作品の見学会」[定員30名]
9:30‐12:00
「榛原」(日本橋2丁目、和紙舗)
「長谷宝満堂」(銀座1丁目、明治工芸・古美術商)
1806年(文化3年)創業の日本橋の和紙舗で、是真、暁斎などの画家との協力、万国博覧会の参加でジャポニスムに貢献した「榛原」と、明治の七宝や蒔絵、金工、京薩摩など日本の細密工芸の紹介、普及に貢献した古美術商「長谷宝満堂」を見学いたします。

※参加証送付とともに、集合時間、集合場所を後日お知らせいたします。

第2セッション 若手研究セミナー
14:30‐15:05
高橋知大(帝京大学大学院博士前期課程)
発表1 「ドイツにおける日本刀の影響-明治・大正期の収集を中心に」
15:05‐15:40
志水圭歩(学習院大学人文科学研究科美術史学専攻研究生)
発表2 「フランス陶磁におけるジャポニスムと折衷主義:1878年パリ万博への参加工房を中心に」
司会・コメンテーター 佐々木秀憲(川崎市岡本太郎美術館学芸担当係長)

第3セッション 記念講演会 [定員80名]
16:00‐17:00
村田理如(清水三年坂美術館館長)
「明治工芸に魅せられて:コレクターから見た明治工芸」

◆ジャポニスム学会賞授賞式および懇親会
17:15‐17:30 2015年度ジャポニスム学会賞・奨励賞授賞式
17:30‐20:00  懇親会
※会場:帝京大学霞ヶ関キャンパス・ラウンジ

11月28日(土)10:00‐17:30

シンポジウム[定員80名]
10:00‐10:10
主催者挨拶
馬渕明子(国立西洋美術館館長・ジャポニスム学会会長)
長田憲幸(公益財団法人畠山文化財団常務理事)

【第4セッション 基調講演 国家と日本工芸】
10:10‐11:00
樋田豊郎(前秋田公立美術大学長)
基調講演1 「ジャポニスムとKOGEI:官吏と商工業者の為の美術」
11:00‐11:50
ニコル・ルーマニエール(大英博物館IFACハンダ基金日本美術キュレーター)
基調講演2 「イギリス・ヴィクトリア朝の日本工芸蒐集にみる国家方針:大英博物館コレクションからA.W.フランクス、アーネスト・サトウを中心に」

【第5セッション ジャポニスムと輸出工芸】
13:00‐13:35
宮崎克己(昭和音楽大学教授・ジャポニスム学会理事長)
発表1「ジャポニスムにおける双方向性:工芸の貿易と交流」
13:35‐14:10
南明日香(相模女子大学教授)
発表2「西欧における鐔コレクション:ジャポニスム期から第一次世界大戦後まで」
14:10‐14:45
黒川廣子(東京藝術大学大学美術館准教授)
発表3「輸出向けの工芸品のコンセプトと在外作品:金工品を中心に」

【第6セッション 輸出工芸の多様性】
15:00‐15:35
木田拓也(東京国立近代美術館主任研究員)
発表4「万博にみられる日本陶磁の正統」
15:35‐16:10
沼田英子(横浜美術館主席学芸員)
発表5「開港地の輸出工芸:芝山細工」
16:10‐16:45
岡部昌幸(帝京大学教授)
発表6「トランスペアレンシーのジャポニスム:蒔絵アルバムからガラス・スライドへ」

【第7セッション ディスカッション】
17:00‐17:30
ディスカッション
司会   隠岐由紀子(美術史家)

 

■ 第4回 畠山公開シンポジウム「ジャポニスムの全貌―ホイッスラーから何が始まったか?」

日時:2014年10月3日(金)、4日(土)
会場:京都国立近代美術館1階講堂(※入場無料)
〒606-8344 京都市左京区岡崎円勝寺町
電話 075-761-4111 ホームページ http://www.momak.go.jp/
主催:ジャポニスム学会
共催:公益財団法人畠山文化財団、京都国立近代美術館・京都市美術館(10月4日のみ)

趣旨
本シンポジウムは、京都国立近代美術館の「ホイッスラー展」、京都市美術館の「ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展」開催に合わせ、ジャポニスムの最初期に位置するホイッスラーとその作品を再検討したうえで、ジャポニスムの発展全体を俯瞰的にとらえなおすことを目的としています。異国趣味、モチーフ、画中画、空間表現、画面構成、色彩や筆触、装飾性、署名や額縁など、ホイッスラーの作品にはジャポニスムと関連するあらゆる要素が観察されます。ホイッスラーを起点としてジャポニスムの諸問題を深く、幅広く捉え直すことは、まさに有意義な試みだと言えるでしょう。

プログラム

10月3日 (金)
12:30-14:30: 見学会 (学会員限定)
京都市美術館「ジャポニスム展」および京都国立近代美術館「ホイッスラー展」の自由見学。

15:00-17:00:若手研究者セミナー

15:00-15:40:発表1 松原史(京都大学大学院博士後期課程)
「ホイッスラーとその時代を彩る日本のテキスタイル―室内装飾調度としての刺繍品を中心に―」

15:40-16:20:発表2 田中竜也(豊橋市美術博物館学芸員)
「ウォルター・クレインのジャポニスム-挿絵、装飾デザインを中心に-」

16:20-17:00:発表3 板橋美也(法政大学専任講師)
「フランク・モーリー・フレッチャーがつないだイギリスとアメリカのジャポニスム」

司会 橋本順光(大阪大学准教授)

 

10月4日(土)
シンポジウム
10:00-10:15 ごあいさつ:宮崎克己(ジャポニスム学会理事長・昭和音楽大学教授)/
長田憲幸(公益財団法人畠山文化財団常務理事)

【セッション1:講演と発表】司会 橋本順光(大阪大学准教授)

10:15-11:15 基調講演:馬渕明子(国立西洋美術館館長)
「ジャポニスムの新側面」

11:15-12:00 発表1: 小野文子 (信州大学准教授)
「ホイッスラーのジャポニスムとその広がり」

【セッション2:発表】司会 岡部昌幸(帝京大学教授)

13:00-13:45 発表2:三浦篤(東京大学教授)
「1860年代のホイッスラー-異国趣味と画中画の視点から」

13:45-14:30 発表3:鶴園紫磯子(ピアニスト・桐朋学園大学講師)
「ホイッスラー-音楽的タイトルがもたらしたもの」

14:30-15:15 発表4:橋本順光(大阪大学准教授)
「ホイッスラーが切り結んだ日本-橋・花火・禅-」

【セッション3:ディスカッション】
15:30-17:00 ディスカッション  司会:宮崎克己

18:00-19:30: 懇親会 (学会員限定)

 

■ 第3回 畠山公開シンポジウム「 水墨のジャポニスム―越境する書と画」

主催:ジャポニスム学会
共催:
公益財団法人 畠山文化財団
協力:
帝京大学、公益財団法人 畠山記念館、株式会社 荏原製作所
会場:
帝京大学 霞ヶ関キャンパス、畠山記念館(見学会)
日程:
2013年10月18日(金)、19日(土)

趣旨:
近年、日本中世・近世の墨跡や水墨画が、欧米の研究者・収集家のあいだで注目されており、 それとともに現代の書、水墨画も熱い視線を浴びるようになった。またふりかえってみるに、 ジャポニスムが盛り上がっていた19世紀後半の西洋においても、浮世絵、琳派、蒔絵など 色彩豊かで装飾的なものだけでなく、日本の筆遣いやモノクロームの表現に魅せられた者 たちが存在していた。
西洋では、日本・東洋文化のもっとも奥深い部分をなす水墨をどのように理解してきたのか、 それらからどのような影響を受けてきたのか、ここではどのようなコレクションが形成 されたのか...、このシンポジウムでは、このジャポニスムの隠れたもう一つの系譜について 探ってみたい。
パネリストとして、国内・海外で活躍する現代の書家と日本画家、言葉と造形の両面から 西洋における水墨の受容を考える美術史家・文化史家が、それぞれの立場から発表し、 意見をかわす。またワークショップでは、若手のジャポニスム研究者たちが、 このテーマを自分の問題意識からとらえなおし、ディスカッションを行なう。
畠山記念館では、「書の美―和歌のこころ・禅のこころ―」展を開催しており、 その見学会もシンポジウムの一環として組みこまれる。また関連事業として、 帝京大学美術史演習によるワークショップも開催される。
ジャポニスム学会が企画運営し、公益財団法人畠山文化財団が資金・運営の バックアップをする畠山公開シンポジウムは、一昨年の「西洋における中国/ 日本――17~19世紀のシノワズリーとジャポニスム」、昨年の「アメリカの ジャポニスム――日米文化交流の歩みと知られざる偉人・執行弘道」を受け、 今回が3回目となる。毎回、シンポジウムの成果は報告書としてジャポニスム学会より刊行され、 ジャポニスム研究の貴重な蓄積となっている。

 

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ポスター裏面 ポスター裏面

プログラム

10月18日(金)【シンポジウム関連事業】

9:30-11:30:「水墨の技法と表現を愉しむ」帝京大学美術史演習によるワークショップ
(東京永田町、帝京大学霞ヶ関キャンパス)

【第1セッション 見学会】

13:00-14:30:畠山記念館「書の美―和歌のこころ・禅のこころ―」展見学会
( 東京白金台、畠山記念館)

【第2セッション ワークショップ】

15:30-17:30:若手研究者によるワークショップ(東京永田町、帝京大学霞ヶ関キャンパス)
「版と墨の変容-暁斎とヤンセン」
小林優(足立区立郷土博物館専門員)
「高島北海の席上画とその筆致」
鵜飼敦子(東京大学東洋文化研究所特任研究員)
「ジョージア・オキーフと水墨画」
玉井貴子(早稲田大学大学院博士後期課程)

10月19日(土)

【第3セッション 水墨の現在】

10:00-10:10:開会のあいさつ
馬渕明子(国立西洋美術館館長・ジャポニスム学会会長)

10:10-10:15:共催のあいさつ
長田憲幸(公益財団法人畠山文化財団常務理事)

10:15-11:00:「水墨のジャポニスム・概観」
宮崎克己(美術史家・ジャポニスム学会理事長)

11:00-11:40:「現代書家の眼から」
菊山武士(書家)

11:40-12:20:「水墨画は可能か?」
三瀬夏之介(日本画家)

【第4セッション 受容の軌跡】

14:00-14:30:「欧米美術館における水墨画コレクション」
板倉聖哲(東京大学 教授)

14:30-15:00:「欧米における書の理解」
水田至摩子(畠山記念館 学芸課長)

15:00-15:30:「西洋における水墨画の受容」
南明日香(相模女子大学 教授)

【第5セッション 総合】

15:45-17:00:共同討議「水墨の交流とその未来」

17:00-17:15:閉会のあいさつ
岡部昌幸(帝京大学教授)

17:30-19:30:懇親会

 

■ 第2回 畠山公開シンポジウム「アメリカのジャポニスム―日米文化交流の歩みと知られざる偉人・執行弘道―」

2012hata_s主催:ジャポニスム学会
共催:公益財団法人畠山文化財団
日時:2012年11月17日(土)10時00分 ~ 18時00分
会場:東洋文庫ミュージアム2Fホール 東京都文京区本駒込2-28-21
(http://www.toyo-bunko.or.jp/museum/)
参加対象:一般公開(会員入場無料、非会員 資料代500円)

プログラム

開会の挨拶:坂本満(ジャポニスム学会 会長)、斯波義信(財団法人東洋文庫 文庫長)

第一部 アメリカのジャポニスム (10:10~12:30)
司会 中地幸 (都留文科大学教授)

基調講演:「アメリカのジャポニスム―その歴史と注目点―」
児玉実英(同志社女子大学名誉教授)

発表1:「日本文化発信者としての幕末維新期の米国留学生」
塩崎智(拓殖大学教授)

発表2:「ニューヨークのジャポニスム―20世紀初頭のアメリカ美術」
金田由紀子(青山学院大学教授)

第二部 美術工芸におけるジャポニスムと陰の功労者、執行弘道 (14:00~17:00)
司会 羽田美也子(日本大学講師)

発表3:「アメリカにおけるジャポニスム陶磁器」
五味良子 (名古屋市博物館学芸員)

発表4:「エドワード・モース、フランク・ロイド・ライトと執行弘道」
大久保美春(比較文化研究者)」

発表5:「起立工商会社のニューヨーク支店」
樋田豊郎(秋田美術工芸短期大学学長)

発表6:「執行弘道と日米における美術振興の発展」
岡部昌幸(帝京大学教授)

第三部 パネルディスカッション (17:10~18:00)
司会 岡部昌幸(ジャポニスム学会理事長・帝京大学教授)

閉会の挨拶:高木陽子(ジャポニスム学会事務局長・文化学園大学教授)

開催趣旨
19世紀後半から20世紀初頭にかけてのアメリカにおける日本受容とその影響の跡は、 我々の想像をはるかに超える大きなものでした。しかし、「ジャポニスム」と呼ばれた この多方面にわたる混沌とした現象は、ヨーロッパの亜流にしか過ぎなかったので しょうか。今回のシンポジウムでは、アメリカのジャポニスムを歴史的に振り返り、 その独自性を明らかにするとともに、橋渡しとなった仲介者や紹介者たちの業績を 掘り起こします。

 

■ 国際シンポジウム「鍬形蕙斎の画本芸術 ~江戸からパリへ~」

日時:2012年3月2目(金)17:00 – 20:00
会場:日仏会館 1階ホール 〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿 3-9-25
http://www.mfj.gr.jp/acces/index_ja.php
主催:日仏会館フランス事務所
共催:実践女子大学文芸資料研究所、共立女子大学総合文化研究所、ジャポニスム学会
備考:入場無料、要申込(contact@mfj.gr.jp)

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プログラム

  • 司会:
    • 馬渕 明子(日本女子大学教授)
    • 内田 保廣(共立女子大学教授)
  • 挨拶:岡部 昌幸(ジャポニスム学会理事長)
  • 発表者:
    • マティ・フォラー(ライデン国立民族学博物館キュレーター、ライデン大学教授)
      「蕙斎の略画式シリーズ-1850年代まで(あるいはそれ以降)のベストセラー-」
    • クリストフ・マルケ(INALCO教授、日仏会館フランス事務所所長)
      「フランスにおける蕙斎の略画式シリーズの受容-パリに渡った版木を中心に」
    • 今井 朋(ルーブル学院)
      「ナンシー私立美術館における蕙斎『鳥獣略画式』の発見について」
    • 佐藤 悟(実践女子大学教授)
      「『人物略画式』の画題」
    • 日野原 健司(太田記念美術館主幹学芸員)
      「蕙斎 vs. 北斎-『略画式』と『北斎漫画』をめぐって」
    • 中野 三敏(九州大学名誉教授)
      「蕙斎と『蔵点賦』」

 

■ 第1回 畠山公開シンポジウム「西洋における中国/日本 ―17~19世紀のシノワズリーとジャポニスム―」

主催:ジャポニスム学会
共催:公益財団法人畠山文化財団
日時:2011年11月5日(土)10時15分 ~ 16時30分
会場:根津美術館(東京都港区南青山6-5-1)B1F 講堂 (http://www.nezu-muse.or.jp/)
参加対象:一般公開(会員入場無料、非会員1000円、非会員学生500円)

プログラム

午前の部

開会の辞・挨拶:岡部昌幸(ジャポニスム学会理事長、帝京大学教授) 西田宏子(根津美術館副館長)

基調講演:「エグゾティスムとしてのシノワズリーとジャポニスム」 坂本満(ジャポニスム学会会長)

基調講演:「異国趣味、14~19世紀のヨーロッパのシノワズリー」 フランチェスコ・モレーナ(フィレンツェ美術館所轄文化財監督局)

午後の部

「東洋風小部屋の装飾と『漆(japan)』」 日高薫(国立歴史民俗博物館教授)

「ドイツ王侯による肥前磁器収集と陳列室の意匠」 桜庭美咲(国立歴史民俗博物館 機関研究員)

「1940年代の曙光 ‐日本におけるシノワズリ―/ ジャポニスム研究史から」 岡部昌幸

シンポジウムフォーラム 「シノワズリーとジャポニスムのはざまで」

コメンテーター:宮崎克己 (美術史家)、水田至摩子(畠山記念館学芸課長)

司 会:藤原貞朗 (茨城大学准教授)

開催趣旨
17~18世紀の西欧において、東洋美術の影響を受けた美術工芸が多数出現しました。 それらは「シノワズリー」と総称されていますが、じつは、中国からだけでなく 日本からの影響が混在しています。プレ・ジャポニスムというべきシノワズリーの 時代、いかなる日本の美術品がどのように愛好されたのでしょう。それは19世紀の ジャポニスムと関連しているのでしょうか。こうした問いかけを軸に、西洋における 中国/日本を総合的に捉え直し、日本や中国の影響が世界的規模となった今日の 国際交流の意味を問い直します。

 

■ 国際シンポジウム「型紙とジャポニスム―各地域における展開」

日時:2009年11月7日 9時30分-18時25分
場所:日本女子大学 新泉山館 大会議室
主催日本女子大学 人間社会学部
後援:ジャポニスム学会
助成:財団法人 吉野石膏美術振興財団

チラシ 表 (pdf)チラシ 裏 (pdf)

 

 

 

プログラム

9:30-9:35: 開会挨拶

第一部 研究発表 [ 使用言語:英語 *通訳は付きません]

9:35-9:55: “Development of the Ise Katagami after the Edo period:from the Research of the Collection of Suzuka City”
生田ゆき(三重県立美術館 学芸員)

9:55-10:15: “Some Observations on Katagami in Western Public Collections”
ジュヌヴィエーヴ・ラカンブル(オルセー美術館 名誉上席学芸員)

10:15-10:35: “Josef Hoffmann (1870 – 1956) – Designer and Teacher:The Importance of Katagami for his Work and Teaching”
ヨハネス・ヴィーニンガー(オーストリア国立工芸美術館 学芸員)

10:35-10:55: “Katagami Collection in Germany – Vorbilder as Official Strategy”
池田祐子(京都国立近代美術館 主任研究員)

10:55-11:10: 休憩

11:10-11:30:  “Katagami Collection in the Netherlands and the United Kingdom”
高木陽子(文化女子大学 教授)

11:30-11:50: “Katagami and Japonisme in Holland around 1900 : Technique, Iconography and Multi-culturalism”
マリヤン・グロート(ライデン大学 講師)

11:50-12:10:  “Katagami Design in Contemporary British Textiles”
阿佐美淑子(三菱一号館美術館開設準備室 学芸員)

12:10-12:30: “Alsatian Industries and Katagami”
馬渕明子(日本女子大学 教授)

12:30-13:30: 昼食

第二部 講演・パネルディスカッション

13:30-15:00: 「染型紙の歴史と染織史的意味」[日英 逐次通訳付き]
長崎巌(共立女子大学 教授)

15:00-15:15: 休憩

15:15-16:45: “Analyse de la collection de katagami du musée des Arts décoratifs de Paris: Une passion pour le Japon”
(「パリ装飾美術館所蔵型紙の分析―日本への情熱」) [仏日 逐次通訳付き]
シャンタル・ブション(パリ装飾芸術美術館 学芸員)

16:45-17:00: 休憩

17:00-18:20: パネルディスカッション[日英逐次通訳付き]
司会 岡部昌幸(帝京大学 准教授)

18:20-18:25: 閉会挨拶

18:30-20:30: ジャポニスム学会賞授賞式、懇親会 (於 桜楓2 号館)

内容:
日本で染織産業の道具であった染め型紙は、19世紀末に大量に輸出され欧米各地の装飾工芸美術館や学校に保存され、西洋の美術とデザインにインパクトを与えました。
本シンポジウムは、平成20-22年度科学研究費補助金 基盤研究(B)「染め型紙のジャポニスムへの影響に関する研究」(代表:馬渕明子)研究グループの中間報告として開催されます。
国内外の研究者を招き、各地域のコレクションの成立由来と全貌、デザイナー・美術家にどのように利用されたか、その結果生まれた作品の特徴、ジャポニスムに何をもたらしたかを報告し、情報交換の機会としたいと思います。シンポジウム参加費は無料です。

 

■ 国際シンポジウム「知られざる英語圏のジャポニスム」

日時:2009年7月11日10時-18時
場所文化女子大学 文化女子大学国際会議室 新宿 (地図)
主催:ジャポニスム学会、ロンドン芸術大学、トランスナショナル・アート研究所(TrAIN)、文化女子大学、文化ファッション研究機構

プログラム

10:00-10:10: 開会挨拶

第一部 TrAIN研究会メンバーによる発表とジャポニスム学会からのレスポンス

10:10-10:30: 「英米ジャポニスムの研究史-工芸から日本庭園へ」
渡辺俊夫氏(ロンドン芸術大学)

10:35-10:55: 「山中商会とアメリカ:20世紀前半期にもたらされた「日本美術」」
小熊佐智子氏(国立西洋美術館)

11:00-11:20: 「デザイン戦略としてのジャポニスム」
菅靖子氏(津田塾大学)

11:25-11:45: 「ラッセル・ライトと「アジアン・モダン」」
菊池裕子氏(ロンドン芸術大学)

11:45-12:45: 稲賀繁美氏(国際日本文化研究センター)によるコメントと討議

12:45-13:45: 休憩

第二部 ジャポニスム学会員による発表とTrAINからのレスポンス

13:45-14:05: 「1890年代から1930年代イギリスにおける浮世絵版画技法の受容」
板橋美也会員(東京大学院)

14:10-14:30: 「イギリスの染型紙とジャポニスム」
高木陽子会員(文化女子大学)

14:35-14:55: 「臨界期のジャポニスム 日露戦争後の英国における武士道と柔道の受容」
橋本順光会員(大阪大学)

15:00-15:20: 「自己実現としての「東洋」受容―アメリカ人女性による岡倉覚三の支援について」
村井則子会員(テンプル大学日本校)

15:25-15:45: 「アメリカにおけるジャポニズム小説の流行」
羽田美也子会員(日本大学)

15:45-16:00: 休憩

16:00-17:00: 渡辺俊夫氏によるコメントと討議

17:00-17:50: フロアからの質疑応答を含む全体討議

17:50-18:00: 閉会挨拶

内容:
昨年12月8日に行われましたシンポジウム「ジャポニスムの過去・現在・未来」で、 パネリストの渡辺俊夫教授が紹介されたプロジェクト英語圏の「忘れられたジャポニスム」は記憶に新しいことと思います。このたびプロジェクトメンバーの学術交流を兼ね、TrAIN、文化女子大学、ジャポニスム学会の共催によりシンポジウムを開催することになりました。いわゆる美術だけにとどまらない庭園や工芸、デザイン、そして文学に思想といった英語圏の多様なジャポニスムを総合的にとらえようとする格好の機会になるかと思います。
発表は日本語で行われます。

 

■ 国際シンポジウム「林忠正-ジャポニスムと文化交流への貢献」

ジャポニスム学会25周年を記念して、日本女子大学と提携して国際シンポジウム「林忠正-ジャポニスムと文化交流への貢献」を11月11日から13日にかけて開催し、成功裡に閉幕しました。

ジャポニスム学会25周年記念国際シンポジウム「林忠正-ジャポニスムと文化交流への貢献」は、日本女子大学新泉山館大会議室において11月11日(金)から13日(日)にかけて、海外からの研究者も招いて日英同時通訳で行われ、日本発の国際美術商、林忠正をめぐり国内外のパネリストによる発表やディスカッションが繰り広げられ、多くの新資料公開や活発な意見交換が行われました。

11月19日の日本経済新聞は、文化欄を大きくさいて、このシンポジウムを会場写真付で報じました。以下にその全文をご紹介します。

「和洋文化交流の好例/研究領域に幅・双方向に作用--解釈広がるジャポニスム」
印象派や後期印象派に対する浮世絵の影響として広く知られる「ジャポニスム」の研究領域が大きく広がってきた。対象とするジャンルや時代、地域が従来より広く解釈され、「ジャポニスムの定義そのものが変わろうとしている」という声さえ聞かれる。
数多く小説出版・・・今年2月に出版された羽田美也子『ジャポニズム小説の世界』。ここでいうジャポニズム小説とは、日本を舞台に日本人が登場する外国人筆者による小説のこと。同書では19、20世紀の米国で出版された作品を探し出し概説している。J・L・ロングの『蝶々夫人』などごくわずかしか知られていなかったこの種の小説が数多く出版され、多くの読者を獲得していた事実は驚きだ。「ジャポニスム」はもともとフランスの美術収集家P・ビュルティが1872年に使い出した言葉。19世紀後半のフランスがその中心と考えられ、浮世絵がモネやゴッホらに与えた影響がよく知られているように、絵画を中心とした研究が主流だった。
ところが馬渕明子日本女子大教授によると近年の研究は、ジャンル面では建築やファッション、文学、音楽へ、時代は19世紀から20世紀へ、地域もフランスから欧米全体へと広がっている。米国人建築家フランク・ロイド・ライトが日本建築に学び、フランスの作家ドビュッシーが北斎の作品に「驚くべき遠近法」を見出したといった例がそれに当たる。
林の業績に脚光・・・羽田氏が米国文学に研究を推し進めたとすれば、C・デランク『ドイツにおける〈日本=像〉』は、20世紀のドイツへと研究を押し広げた著作だ。「サムライと芸者」といったステレオタイプの日本イメージ、絵画や写真、建築における日本受容を論じている。そうした動きが両大戦間まで至っているとの見方は、ジャポニスムが20世紀初頭には衰えたとする考えに再考を迫る内容だ。
今月11日から13日まで日本女子大学(東京都文京区)で開かれたシンポジウム「林忠正-ジャポニスムと文化交流への貢献」はジャポニスムの成立に重要な役割を果たした美術商、林忠正(1853?1906年)がテーマ。林には浮世絵の名品を大量に海外流出させた人物といった負の評価もあったが、シンポジウムは林の優れた業績を印象づける内容で、そのこと自体がジャポニスム研究の懐を深めている。
フランス以外の西欧諸国から参加したパネリストは、尾形乾山のやきものや刀のつばといった工芸品が西洋における装飾美術の再評価を促した実例を数多く紹介、浮世絵の影響中心に語られがちな従来のジャポニスム・イメージから踏み出した発表が多かった。
こうした研究の進展について、宮崎克己ブリヂストン美術館副館長は「これまでは物の移動とか作品間の影響関係とかが主に注目されてきたが、最近は情報がどう行き交ったかに関心が移行している」と分析する。
「逆輸入」の実態・・・林が浮世絵や工芸品を西洋にもたらす一報で、西洋初の本格的な北斎伝を書いたエドモン・ド・ゴンクールに知識面での助力を惜しまず、明治期に確立された「美術」「工芸」などの概念の形成に深く関与したという研究成果が発表された。こうした理解は、情報や知識面での交流を探るジャポニスム研究の比重が増していることを示す。
手塚恵美子日本女子大助手の発表は、明治の画家、浅井忠が日本美術の影響を受けたアールヌーボーのデザインを取り入れるなど、ジャポニスムの逆輸入の実態を探る内容。ジャポニスムをめぐる動きが日本から西欧への一方的な影響ではないという視点は重要だ。
「ジャポニスムは20世紀に入ると、趣味やスタイルの受容を超え、インターナショナルなものに溶け込んだ」とは、瀬木慎一総合美術研究所所長の見解だが、研究はそうした目に見えにくい領域に入り込んでいる。
高階秀爾大原美術館館長はこう語る。「現代のグローバリゼーションには文化を壊す面があるが、ジャポニスムは文化の多様性を認め合うことで成立した。ジャポニスムは国際的な文化交流の好例とも言える」
ジャポニスム研究は射程を大きく広げ、影響関係といった固定的な視点を脱することによって、海外との付き合いを避けては通れない現代、いかに文化交流を行うかを考察するためのモデルにもなりうる。(編集委員 宝玉正彦)。

※ジャポニスム:日本美術の美意識や造形原理を取り入れた西洋美術の思潮を意味する用語で、19世紀後半のフランスで使われ出した。とくに印象派への影響が有名。似た意味の「ジャポネズリー」は「日本趣味」というほどの意味。